今まで味方だと思っていた人間が、突如敵になることもあれば、その逆もあります。事柄の大小は別として、誰にでも起こりえることとは言え、特に前者はあまり体験したくないことですよね。でも、そもそも敵か味方かという判断をしているのが、ストレスの原因になるのでは?今回は、敵か味方かという概念を変えてくれる映画をご紹介します。
ツイートセッション
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<2人の関係性の根底にあるもの> |
この人に認められたいという一筋な思いで、手から何度も血を流しながらドラムを練習するニーマン。鬼教師のフレッチャーも彼の情熱を認めますが、認められつつあるニーマンの欲求はさらに高まっていきます。こうするうちにやがてお互いのエゴが膨らんでいき、せっかくできたようにみえた信頼関係もだんだんと不安定になっていきます。自分の立場が危うくなったニーマンは、とんでもない事態を巻き起こすのですが、それは教師であるフレッチャーに飛び火し、二人は敵対する状況に追いやられます。二人の関係が最終的にどうなるのかは、映画を観て確認して頂ければと思いますが、最終的に大きく影響するのは音楽であることは確かで、この音楽にどう向き合っているのかという二人の本質が、彼らの関係を決定づける結末に圧巻です。結局のところ、敵・味方なんて次元ではないはずなのに、お互いの野望やプライドが相手を見る目を曇らせてしまうのだと思います。 |
駆込み女と駆出し男
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<2人の関係性の根底にあるもの> |
この駆込み寺に訪れる女たちの事情はさまざま。この寺に入る際には、事情をいろいろ聞かれ、面接のようなものが行われるのですが、駆け込んだ一人の女性、お吟(満島ひかり)は、実は離縁の理由を偽っています。何のために秘密にするのか、なぜ離縁しようとするのか、ラストで明かされ、完全にこの夫婦の関係性についてのイメージは逆転します。離婚する上で、夫もいろいろと取り調べられたり、敵対関係になるのですが、そもそも妻が離縁を考えた理由自体がとても重要。敵か味方かなんて考えてイライラする前に、なんでそうなったのかを考えてみることはとても重要だなと思います。少しでもそれが見えれば、敵対していると思える関係も見え方が変わってくることもありそうです。 |
心が不健康なとき、自分の周囲の人間関係を敵か味方かで判断してしまうこともあるかも知れませんが、その考え方を取り去っただけでストレスはすごく軽減されると思います。表面的な言動だけで敵か味方かなんて判断せずに、相手が何を考え、何を求めているのか、そこに自分がどう関わっているのかなど冷静に考えてみることが、関係性を変える一歩なのではないでしょうか。
2015.5.11 TEXT by Myson