物語は、ある一家の母親が早朝に家を出て行くシーンから始まります。そして、家を出た母親、家に残された夫と娘、息子の様子が交互に映し出されていきます。
ネタバレしないようにこれ以上は書けませんが、とにかくよくよく観察してください。途中で良い意味で混乱してくると思いますが、徐々に真相が見えてきます。観る前と観た後で印象がガラッと変わる作品。最後まで観ると、これはいろいろな意味での旅立ちの物語であり、愛に満ちた物語だとわかるはずです。
本作は、名優としても知られるマチュー・アマルリックが監督を務めています。俳優としても、監督としても、このセンスの良さが憎い(笑)。叙情的な演出が見事です。
最後まで観ると全部繋がりますが、注意深く一つひとつのシーンを観て、セリフにも注意を払いながら観て欲しい作品なので、普段あまり映画を観ない方よりも、映画好きの方と観るほうが鑑賞後の会話も盛り上がると思います。そういう観点で、好きな人と観るか、友達と観るか、一人で観るか、検討してみてください。
子ども目線で観られなくもないですが、大人になってから観るほうがキャラクター達の心情を身近に感じながら観られると思います。ティーンの皆さんで、小説を書いたり、映画を作ったり、演じることに興味がある方は、表現の手法として勉強になる部分がありそうです。
『彼女のいない部屋』
2022年8月26日より全国順次公開
ムヴィオラ
公式サイト
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TEXT by Myson