一言で“介護”といっても、その奥にはいろいろな課題、難題があるのだとわかるストーリーです。施設利用者が認知症なのか、それ以外の不自由さを抱えているのか、それぞれのケースによって、対応が変わってくるのはもちろんですが、そのことを家族がどう受けとめて施設に預けているかという事情なども絡んでくるので、当事者全員に相当な負荷があるのが伝わってきます。さらに利用者とその家族だけの問題でもなく、そこに社会の目も絡んできます。本作は、そういった状況の中で、いかに利用者と家族が幸せに過ごせるかということを一緒に考えるスタンスを持ち、介護士のやり甲斐にも言及している点で、いろいろな視点をもって介護の現状を描いています。介護の現場を舞台にしてはいますが、“事なかれ主義”を捨てて変革を試みる展開には、普遍的なテーマも含まれているので、「私にはまだ関係ない」という感覚を捨てて観てください。
今介護中の人はもちろん、何か悩みがあると自分1人で抱え込んでしまう人にも観て欲しいストーリーです。本作には、思い込みがあったり、悩みを1人で抱え込むことによって、ただただ不安が増幅して気が立ってしまうキャラクターが登場します。そういう時に身近にいる人達はどう接したら良いのか、ヒントになる部分もあるので、何か悩んでいる人がいたら、誘ってみてはどうでしょうか?
キッズやティーンの皆さんにとっては、まだ縁遠く感じるお話かも知れませんが、本作には孫のキャラクターも登場します。彼の目を通して、「自分に何ができるのか」を知ることもできます。また、これからどんな仕事に就こうか考える際に、介護士という選択肢も出てくるでしょう。大変なお仕事というイメージがあるかも知れませんが、実際に働く人達はどんなことにやり甲斐を持っているのかなど、本作を観て参考にしてはどうでしょうか。
『ケアニン~こころに咲く花~』
2020年4月3日より全国順次公開
ユナイテッドエンタテインメント
公式サイト
© 2020「ケアニン2」製作委員会
TEXT by Myson