原作となる小松左京の「日本沈没」という小説は知っていましたが未読なので、内容は詳しく知らずに観ました。まず、こんなに序盤からどんどん重要キャラクターがいなくなるのかという驚きで釘付けになり、物語の中で起こっている事態の深刻さをひしひしと感じます。かなりショッキングなシーンも多々あり、実写で同じシーンをそのまま映したら耐えられる人も限られそうなくらい、生々しいです。そんななかでも、主人公一家の愛情や子ども達の成長を描いている点でドラマチックであり、感動的であり、人は他の人の存在があってこそ生きながらえるのだということを教わります。途中出てくる謎の団体についてはかなり不気味だっただけに、もう少し掘り下げて欲しかったなと思いましたが、物語の軸はそこではなく、こういった出来事が起こるなかで、普段は出会うはずのない人同士が出会い、いろいろな人々の人生が浮き彫りにされるのを映し出していくという流れの一部だということなのでしょう。そして、人は悲しみや苦しみからどうしても抜け出せない時、形のない何か、実態がわからない何かにすがることで、希望のようなものを見つけることもあるということなのかも知れません。
シーズン1は10話で、1話が約25分という短さなので、どんどん続きを観てしまいます。湯浅政明監督の独特のタッチも物語にマッチしていて、壮大なスケールなので、大人向けのアニメーションとして見応え十分です。私は実写の『日本沈没』(1973)はまだ観ていませんが、皆さんもきっと観比べてみたくなると思います。今シーズンのラストは綺麗な終わり方をしますが、これにどう物語が続くのか、とても気になります。悲しんでいる暇もないほど壮絶なサバイバルをぜひご覧ください。
『日本沈没2020』
2020年7月9日よりNetflixにて配信開始
作品公式サイト
Netflix公式サイト
©“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners
TEXT by Myson