実写版の『アダムス・ファミリー』(1991)もビジュアルインパクトが強烈で、お馴染みのテーマソングも強く印象に残っている人が多いのではないでしょうか。それが今作はアニメーションということで、さらに表現の幅が広がり、アニメーションならではの可愛らしさも加わったチャーミングな作品に仕上がっています。「それ、ほんまにされたらめっちゃ怖いで」ということも、コミカルに描かれていて、そこにさりげなく正義も見えることで、共感度、好感度は抜群。多様性が広く叫ばれるようになってきた現代に合った内容だとつくづく思うと同時に、まだまだ変わった人、変わった子が肩身の狭い思いをしている世の中に一石を投じるストーリーに勇気をもらえます。また、アダムス・ファミリーと世間一般との対比だけでなく、家庭、家系における個性の見直しというのもテーマになっていて、伝統だけでに縛られず、新しい解釈、新たな理解が必要というメッセージも伝わってきます。
声優も超豪華で、オスカー・アイザック、シャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モレッツ、フィン・ウォルフハード、ベット・ミドラーという個性派、実力派が揃っていて、洋画好きにはたまりません。日本語吹き替え版の声優も、杏、生瀬勝久、二階堂ふみ、ロバート秋山、LiLiCo、井上翔太とバラエティに富んだメンバーが担当していて、ファミリー映画としても手堅いですね。こう見えてすごくホッコリする作品ですので、大人も子どもも癒されてください。
不気味な世界感を持ちつつも、とてもコミカルで温かい作品なので、デートで観るのも良いと思います。誤解から対立が生まれているという視点も描かれていて、大胆な人間関係の改善が描かれるストーリーは観ていて爽快です。リアルに使える解決策として参考にすることはできませんが(笑)、「自分は自分らしくあって良いんだ」と思わせてくれるストーリーなので、好きな人が人間関係に悩んでいたり、自分を見失いそうになっていたら、誘ってあげてください。
上映時間は87分と観やすいし、キッズでも楽しめます。見た目はちょっと怖いけど、それぞれのキャラクターはとてもチャーミングです。クスッと笑えるシーンも多く、キッズキャラのカッコ良い場面も豊富です。アーティスティックな要素も多い作品なので、ティーンの皆さんにも楽しめるはず。学校での友達関係で悩んでいる人にも前向きな視点をもたらしてくれるので、気分転換に観るのも良いでしょう。
『アダムス・ファミリー』(アニメーション版)
2020年9月25日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson