伝統を重んじ、村独自の文化を保ちながら人々が暮らすバクラウ。最初は小さな村に住む者同士の平凡でのどかな日常が映し出されるのですが、要所要所に「??」と思わせるアイテムや人物が出てきて、観ていると徐々にドキドキしてきます。元々人里離れた場所にある村ということはわかるので、物資や水が不足すると困るだろうことは想像が付くのですが、そういった生活の中にあるちょっとした出来事に変化が起こってきたかと思えば、途中から「えー!!」という展開になります。人によってはすごく大きな陰謀をイメージしたり、複雑な人間関係があるのではと想像したり、かなり想像を膨らませられる点で、作り方の巧さを感じます。観終わった後には「こういうテンションの映画だったのか!」と驚かされますが、独特の不気味さが半端ない作品です。クレイジーな映画として楽しむのもあり、現代社会を投影した社会派映画として観るのもあり、捉え方もいろいろできそうです。
村人に野生的な側面があるせいか、ベッドシーンが出てきてもサバサバしています。とはいえ、途中からかなり激しいバイオレンスシーンが出てくるので、デート向きとは言えません(笑)。こういう類の映画が2人とも好きなら大丈夫ですが、初デートなど相手の好みがあまりわからないうちから誘うのは少々リスキーです。
こりゃいろんな意味で怖いので、映画を観慣れていないとビックリするかもしれません。R-15なので15歳以上の人は観られますが、灰汁の強い映画もいろいろ観てから本作を観たほうが、免疫がついた状態で観られると思います。もちろん、この映画でこういうジャンルの映画に目覚めるのもアリだと思うので、映画にハマりつつある15歳以上のティーンの皆さんは、興味があればトライしてみてください。
『バクラウ 地図から消された村』
2020年11月28日よりシアター・イメージフォーラムにて公開
R-15+
クロックワークス
公式サイト
© 2019 CINEMASCÓPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINÉMA
TEXT by Myson