アクションそのものはもちろん、スタントウーマンやアクション監督の皆さんの仕事に対する姿勢や生き様がめちゃめちゃカッコ良くて、こういう方々のおかげで、迫力満点のアクション映画が楽しめるんだなと感動しました。スタントと一言でいっても、格闘シーンやカースタント、すごく高いところから飛び降りるスタントなど、いろいろな種類があって、どれも命がけです。並外れた身体能力だけを求められるわけではなく、命がけでやらなければいけない仕事だからこそ、自分自身で危機管理をできなければダメで、危ないと思ったら別の案を出したり、ノーと言ったり、判断力と強い姿勢も必要で、すごくプレッシャーの大きな仕事だなと改めて知りました。それは自分自身だけのためではなく、周囲の安全も確保するためで、タイミングが少し狂うだけでも命取りなので、すごく集中力のいる職業ということも実感しました。劇中では「あのアクションって、どうやって撮ったんだろう」と思っていたアクション大作も多く出てきますが、やっぱり生身の人がやっていたんだと思うと、感慨深いです。映像技術でできることは増えましたが、やはり人が本当に演じているアクションに勝るものはないですよね。
また本作では、男性優位のスタント界で女性が地位を得るためにいかに闘ってきたかということも語られています。「プロとして尊敬されたい、女としてじゃない。“女性の割りには”ではなく、真の一流になる」というコメントがとても印象に残りましたが、女性だからできないと言われたり、できたらできたで“女性の割りに”と言われたり、どんな世界にも同じようなことがあります。女性がアクション監督として認められるのも難しいという話題も出てきますが、性別は関係なく認められようと努力する彼女達の姿に勇気と元気をもらえます。本作を観たら、次から誰がスタントをやっているかで映画を選びたくなりますよ。スタントウーマン名鑑なんかがあったら良いのにと思います。本作の公式サイトでは、本作に登場するスタントウーマン達のプロフィールが載っているので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
いろいろなアクション映画の背景を知ることができるので、映画好きカップルにオススメなのはもちろん、職業は問わず働く女性の声を代弁してくれている部分が大いにあるので、恋愛も大事だけど仕事も大切にしたいと考えている女子の皆さんはぜひパートナーと一緒に観て、自分の考え、価値観を話す機会にしていただければと思います。交際が浅い人も敢えてデートで観てみると、相手の女性に対する見方が垣間見られるかもしれません。
彼女達の仕事ぶりがすごくカッコ良くて、見応えのあるアクションシーンが数多く出てくるので、性別問わず楽しめるドキュメンタリーとなっています。スタントの仕事に就いている人の中にも、いろいろな経歴を持つ人達がいて、得意なこともそれぞれ違っていて、世の中にはさまざまな仕事があることを本作を観て知ることができます。命の危険が伴う仕事で、簡単に就ける仕事ではありませんが、身体能力を活かした仕事をしたいと思っている人は、本作を観てみると良い刺激を受けられるでしょう。
『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』
2021年1月8日より全国公開
イオンエンターテイメント
公式サイト
© STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020
TEXT by Myson