霊が見える男と、霊を祓える男が主人公ということで、ホラーだなとは予測できますが、心霊メインかと思いきや、連続殺人事件の謎を追っているという点で、ビジュアル的にインパクトのあるホラーシーンも豊富です。志尊淳が演じる三角康介、岡田将生が演じる除霊師の冷川理人、平手友梨奈が演じる謎の女子高生、非浦英莉可ともにキャラクターがとても濃いので、すぐに物語に引き込まれます。特に三角と冷川の出会いのシーンで、冷川が「いきなりごめんなさい」といって除霊を行うのですが、岡田将生の美しさとクールさでそのセリフと行為がキマリ過ぎててニヤニヤしちゃいました。きっとこの冷川の除霊シーンにズキュンとくる女子がたくさんいそうです。
そして、このストーリーの良い意味での不気味さ、本当の怖さは後半で一気に判明していきます。「信じる力」を良しとしたり、重視するストーリーは多々ありますが、本作には「信じない力」というキーワードも出てくる点でユニークです。人間1人の信じる力、信じない力なんて大したことはないと思ってしまいますが、本作を通じて世の中を見渡してみると、なるほど影響力が大きいことも実感できます。ホラーとしてのおもしろさはもちろん、テーマに深さがあり、社会的なメッセージも感じられる作品なので、見応えがありますよ。回収できていないと思われる伏線がいくつもあったので、続編がありそうな期待も残ります。
吊り橋効果も期待できますが、惨殺シーンなどもあるので、本気でホラーがダメな人を誘うのは控えたほうが良いかもしれません。相手の好みや許容範囲がわからないうちや初デートには不向きかもしれませんが、何度か一緒に映画を観たことがあり、ホラーもチャレンジしているカップルなら、一緒に観ても良いでしょう。メインのキャラクターの背景に推理を働かせて観るおもしろさもあるので、鑑賞後の会話も楽しめそうです。
これはキッズにはだいぶ怖いと思います。PG-12なので大人と一緒に観ることもできますが、無理せずにもう少し大きくなってから観ると良いでしょう。メインのキャラクター達はそれぞれに特別な能力を持っていて、苦しみながらも闘う姿はとてもカッコ良いです。心霊ものが好きな中高生には打ってつけの作品なので、友達を誘って観てはどうでしょうか。
『さんかく窓の外側は夜』
2021年1月22日より全国公開
PG-12
松竹
公式サイト
©2021 映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 ©Tomoko Yamashita/libre
TEXT by Myson