『哀愁しんでれら』というタイトルなので、ストレートなシンデレラストーリーであるわけがないと思いながら観るのですが、歪んだ人間性のオンパレードといった感じでいろいろな意味で恐ろしい物語となっています。過去に悲しい経験があることで児童相談所での仕事でも強い思い入れをもち、ついついいき過ぎた行動をとってしまう小春(土屋太鳳)は、突然複数の不幸に見舞われます。そんなある日ひょんなことから王子様のような男性(田中圭)に出会い、一気に幸福感に包まれ、まさにシンデレラストーリーを歩んでいきます。といった感じで前半はコミカルな場面もあり、小春の生活がどんどん華やいでいくのを楽しく観られるのですが、あまりにとんとん拍子に進んでいくので、中盤くらいからは良い意味で警戒心が沸き、後半のスリリングな展開に自然に引き込まれていくはずです。後半がどんなストーリーなのかは本編を観ていただくとして、本作には恋愛の落とし穴、結婚後の予期せぬ展開、子育ての難しさといった観点で恐ろしい展開が描かれています。この怖さこそが本作のおもしろさなのですが、恋愛や結婚、子育てに臆病になっている人にとってどんな作用があるのかが未知数です(笑)。でも反面教師として観ると有意義とも言えます。とにかく女性の生き方についていろいろと考えさせられる内容で、観終わったら誰かと語りたくなるので、女子同士で観に行くと一層楽しめそうです。
ストーリー的に女性のほうがいろいろ「怖っ!」「やだー!」と思う内容が多いと思います。男性がどんな反応になるのかはわかりませんが、感想に違いがあるのか、会話で楽しむのもアリかも知れません。ただ、恋愛や結婚、子育てに消極的な女子が観ると、一層消極的になる可能性がなきにしもあらずなので、デートで観るよりは仲の良い友達同士で観るか、1人でじっくり観るほうが良いのではないでしょうか。
子ども達の世界で起こる問題もストーリーの中で重要なポイントとして描かれています。キッズ、ティーン、大人で注目するポイントが全く異なりそうですが、内容的にはティーンになってから観るほうが良いように思います。これからいろいろな恋愛をするかもしれない皆さんにとっても、教訓になりそうなところがあるので、相手を見極めるにはどうしたら良いのか、自分だったらどうするかイメージしながら観て観てください。
『哀愁しんでれら』
2021年2月5日より全国公開
クロックワークス
公式サイト
©2021「哀愁しんでれら」製作委員会
TEXT by Myson