戦国時代に迷い込んだ高校生達が、自分達の得意とするスポーツの技を武器に戦う奇想天外な設定がまず魅力的です。突然学校ごと戦国時代にタイムスリップし、高校生達が訳もわからず武士に斬られていくシーンは想像以上に過激に描かれていて、終始シリアスなトーンで物語は進んでいきます。一方、どう考えても異常な事態で何が起こっているのかお互いに把握できていないはずの状況下で、「侍と高校生両方フツーに喋ってるやん(笑)」とよくよく考えたら可笑しいシチュエーションもまた良い感じでスパイスになっています。
それはさておき本作は、全国大会レベルで活躍する生徒達が、その優れた身体能力や頭脳を活かして、どう戦うのかが見もの。武道部はまだイメージがつきやすいのですが、真剣を使う相手に対して、野球部、アメリカンフットボールなどの球技でもそのスポーツの特性を活かした戦術で立ち向かう姿がとてもユニークです。また、新田真剣佑が演じる主人公、西野蒼のキャラクター設定が見事で、物語の最後まで予想できない展開が続きます。
設定や物語そのものもおもしろいですが、部活に一所懸命励む高校生達にリスペクトを示し、エールを贈る内容にも受け取れて、彼らの苦闘を観ているとパワーと勇気をもらえます。キャストもすごく豪華で、若手人気俳優が演じるそれぞれのキャラクターはもちろん、松山ケンイチが演じる織田信長も魅力的に描かれています。そして、三浦春馬が徳川家康を演じ、物語を大きく動かす役割を担っていますが、爽やかで凜とした家康がとても素敵で、彼が放つ言葉が主人公だけでなく観る者の心にも熱いメッセージを残します。見どころがたくさん詰まった作品で、戦国時代についても織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の関係性だけわかっていればついていける内容なので、戦国時代はよくわからないという女子でも楽しめますよ。
物語の舞台が戦国時代なので、戦闘シーンでは痛々しいシーンも結構出てきます。普段からいろいろな映画を観ている人にとっては許容範囲だと思いますが、初デートで相手の好みがまだわからない場合は、一応苦手な描写はないか先に確かめてから誘うほうが良いでしょう。ほんのりラブストーリーの要素もありますが、高校生同士の恋愛なので観て気まずくなるようなことはありません。基本的に広い層が楽しめる作品なので、上記の点だけ注意すれば、デートで観るのも良いと思います。
PG-12でキッズにとっては過激だなと思えるシーンも出てくるので、中高生になってから観ると良いと思います。日本史と照らし合わせて観ると、本来の歴史的出来事にも興味がわくので、これを機に映画を観る前もしくは観た後に、戦国時代について調べてみると勉強にも繋がって一石二鳥です。部活に励む高校生達がカッコ良く描かれているので、体育会系、文化系を問わず、部活をやっている人は新鮮な気持ちになれると思います。もちろん部活に入っていない人でも、特に主人公の葛藤に共感できると思うので、いろいろな視点で観てください。
『ブレイブ -群青戦記-』
2021年3月12日より全国公開
PG-12
東宝
公式サイト
©2021「ブレイブ -群青戦記-」製作委員会 ©笠原真樹/集英社
TEXT by Myson