ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンが共演というだけでも見応え抜群の本作。舞台は、1840年代のイギリス南西部の海沿いの町ライム・レジスで、古生物学者のメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)は母親と共に静かに暮らしています。そこへある時、裕福な化石収集家のロデリックとその妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)が訪れ、母親以外の人とはほとんど親交がなかったメアリーの生活と心境が少しずつ変化していきます。 資料によると、メアリー・アニングは19世紀に実在した労働階級の女性で、当時男性優位の階級社会の中、独学で古生物学を学んでいたそうです。残念ながら、当時の社会的地位と性別のせいで、メアリーの詳細はほとんど記録されていないようですが、フランシス・リー監督(脚本も担当)が、偶然メアリーの存在を知り、興味を持ったことから、本作の制作に至ったようです。物語自体はフィクションですが、そういった背景を知った上で本作を観るとよりメアリーに興味を持てますし、シャーロットと出会うことで、お互いに少しずつ影響し合っていく関係性にも魅力を感じます。男性優位な社会の中で2人の女性がどのように自分自身を見つめていくのか、ぜひ注目してご覧ください。
急に全裸が映るシーンなどがあるので、付き合いたてのカップルには刺激が強めです。メインは、不安や孤独を感じながら生きているメアリーとシャーロットの物語で、立場も性格も違う2人が少しずつ関係を築いていく様子は、性別や世代問わず共感できる部分だと思います。また、恋愛に悩んでいる人の場合も、メアリー達を取り巻く環境や人間関係からヒントを得られるかもしれません。
R-15+なので、キッズは15歳以上になってから観てください。ティーンで本作を観る場合も歴史的背景や、ジェンダーにまつわる社会的地位の問題などをある程度勉強してから観たほうが内容をより深く理解できると思います。また、本作では古生物学者のメアリーが化石を採掘する様子も観られるので、もし興味を持ったら博物館に行ってみたり、古生物学者がどんな職業なのか調べてみるのもオススメです。
『アンモナイトの目覚め』
2021年4月9日より全国順次公開
R-15+
ギャガ
公式サイト
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TEXT by Shamy