今作もガイ・リッチー監督らしいスタイリッシュな作品になっている点が魅力なのはもちろん、マシュー・マコノヒー、チャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、ジェレミー・ストロング、エディ・マーサン、コリン・ファレル、ヒュー・グラントといった、超豪華キャストが集結しているのも嬉しいところです。物語は、裏のビジネスの売買を巡り、関係者それぞれがあの手この手で自分が一番利益を得るように画策するというもの。設定自体はオーソドックスですが、このいざこざにちょっと違う方面の人達が絡んでくるから先が読めないおもしろさがあります。さらにこれだけの人数が出てくるのに、それぞれのキャラクターが濃く、灰汁が強い点も見どころ。私が個人的に気に入ったのは、コリン・ファレルが演じるコーチです。お楽しみを取っておくために詳細は書きませんが、彼はとても美味しい役で、笑いを提供してくれます。緊張感が走る場面がいくつもあるなかで、ちょいちょいユーモラスなシーンが出てくるところにも、ガイ・リッチー監督の茶目っ気のある演出が見えますよ。本作は、裏社会の頭脳戦を描いていますが、露骨に怖い描写はなく、ある意味ドタバタ喜劇ともいえるので、気楽に楽しんでください。
カップルで観て気まずくなるようなシーンもなく、バイオレンスの要素はありつつ露骨に映ることもないので、幅広い層に観やすいと思います。映画好きなカップルはもちろん、オシャレ好きなカップルにも気に入ってもらえそうな世界観です。鑑賞後は、物語の行方をどう予想していたかを話したりするのも楽しいですよ。
相手が誰なのか、それがどれほど怖い相手なのかを知らずにいきがる若者達が複数出てきて、物語を盛り上げてくれるので、ティーンの皆さんも等身大で観られる部分があります。若者特有の行動特性がスパイスとなっているシーンも印象的に描かれているので、「何やってんだよ(笑)!」と心でツッコミながら楽しんでください。
『ジェントルメン』
2021年5月7日より全国公開
PG-12
キノフィルムズ
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TEXT by Myson