お恥ずかしながら音楽には疎いので、デイヴィッド・バーンというアーティストをよく知らないまま、私はスパイク・リー監督お目当てで観ました。ちなみにトーキング・ヘッズという名前も聞いたことはありましたが、どんな歌を歌っていたのかは知りませんでした。公式資料によると、本作は2018年にデイヴィッド・バーンが発表したアルバム“アメリカン・ユートピア”を原案とし、そのワールドツアー後の2019 年秋からブロードウェイのショーとして再構成されたものです。デイヴィッド・バーンは映像化の可能性を考え、スパイク・リーに声をかけ、このライヴ映画が実現したとのことです。
ショーはどうだったかというと、デイヴィッド・バーンを知らずに観た私でも充分楽しめる、というか知らないからこそいろいろ新鮮で、1曲目からその歌詞の内容や演出のおもしろさに引き込まれました。舞台セットや演者の衣装はとてもシンプルなのですが、歌そのものの個性はもちろん、演出もユニークで、とてもスタイリッシュ。センスが良いってこういうことをいうのだなと実感させられます。映画館で観ると、ライヴ鑑賞している感覚で観られるので、1曲歌い終わるごとに思わず拍手をしてしまいそうでしたが、それくらい臨場感も楽しめます。そして、エンタテインメントとしてだけでなく、思想や主張もうかがえて、発言力がある方が芸術やエンタテインメントでこうして世の中にメッセージを届けることの重要性も感じられました。いろいろな視点で楽しめるので、ライヴ映画は観たことがないという方もぜひ観てみてください。
ライヴ鑑賞に行く感覚を味わえるので、音楽が好きなカップルには特にオススメです。トーキング・ヘッズやデイヴィッド・バーンがもともと好きな方はもちろん、全く知らなくても問題ありません。誰が観てもわかりやすいので、初デートでもOKでしょう。歌詞の内容も印象的なので、観終わった後の会話のネタにもできそうです。
鼓笛隊スタイルで、楽器を身体に身につけたまま演奏するライヴで、出演者達が舞台を動き回る演出も観ていて楽しいです。洋楽に興味が出始める年頃なら、問題なく楽しめるでしょう。皆さんの祖父母世代は、デイヴィッド・バーンやトーキング・ヘッズのことをよく知っていると思うので、誘ってあげると喜ぶかもしれませんよ。
『アメリカン・ユートピア』
2021年5月28日より全国公開
パルコ
公式サイト
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TEXT by Myson