本作は、キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた知られざる実話を基に、核戦争回避のために命を懸けた男達の葛藤と決断をスリリングに描いたスパイ・サスペンスとなっています。1番驚くのは、平凡なセールスマンだったグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)がある日突然スパイになる点で、彼がどのような心情で任務を遂行するのか注目です。
主人公のグレヴィルを演じたベネディクト・カンバーバッチは、普通のセールスマンがスパイ活動をするという難役を見事に演じており、今回は製作総指揮も務めています。物語が進むに連れてグレヴィルの様子がどんどん変化していく様子からは、彼の役者魂と共に本作への意気込みも感じられます。また、その他にもメラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリーらが出演し、本作を盛り上げています。
激しいアクションなどはなく、全体的には静かなトーンで物語は進みますが、主人公のグレヴィルとGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官のペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)とのやり取りは終始緊迫感があり、ハラハラさせられます。 暴力的なシーンがほとんどないという意味では、どんな方でも観やすい作品だと思います。史実を知る意味でも、キャスト達の名演を観るためにもオススメできる作品です。
恋愛要素はありませんが、主人公に妻子がいるという点では、カップルで観て共感できる部分も多いと思います。グレヴィルはスパイ活動のことを家族にさえ明かせず苦悩し、妻も「何か隠し事があるのでは?」と疑うようになります。夫婦関係がどうなるのかは本編でご覧頂くとして、やはりパートナーとの間で隠し事をすることは本当に危険だということも感じられると思います。
皆さんも観られますが、核戦争のことや当時のアメリカとソ連の関係性を少しでも理解しているほうがより楽しめると思います。スパイをテーマにした作品はたくさんありますが、本作は実話がベースになっているので、そういった意味ではよりリアルな緊張感を感じられるのではないでしょうか。また、これを機に他のスパイ映画を観てみるのもオススメです。
『クーリエ:最高機密の運び屋』
2021年9月23日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Shamy
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