冒頭に出てくる言葉からして不気味で、それがとても重要な伏線になっています。でも序盤はカラクリがあるようなストーリーには見えません。だからこそ深読みせずに観ていて、クライマックスで「えっ!あっ!」となります。というわけで、毎度しつこく書いて申し訳ないですが(笑)、個人的にはどんな映画も前情報を極力入れずに観るのが1番だと思っていて、本作は特にそうです。これは観る前にネタバレに出くわすとおもしろさが半減してしまうので要注意です。
ラストで驚きの事実が明かされる映画はいくつもあり、映画をたくさん観る方はだいたい結末が予想できるようになってきていると思います。でも、本作のラストはなかなか予想できないはず。途中から「あれ?」の連発が起こり、「そういえば、さっき…」という伏線がどんどん繋がって、「怖〜っ!最悪〜(震)」となります。こんなことがリアルに起きたら本当に恐ろしいですが、裏を返すと現実世界でこういったことが形を変えて起きているのだということを描いているのだと思います。キービジュアルからホラーっぽい作品かと思われる方もいるかもしれませんが、ホラーではありません。でもある意味ホラーよりも怖いので、見応えは期待してOKです。
ロマンチックなムードになるタイプの映画ではありませんが、今2人で一緒に平和に映画を観ていられることがいかに幸せかが実感できるので、お互いへの愛おしさがちょっと増すかもしれません。映画としてのおもしろさもあり、社会問題についても描かれているので、議論好きなカップルには特にオススメです。
どこでカラクリに気付いたか、どこまで伏線に気付いたか、鑑賞後に誰かと語りたくなる作品なので、友達と観るか親子で観るのも良いでしょう。そして、目を向けるべき社会問題とそれと関連してアメリカ史にも触れているので、歴史を振り返るきっかけにもできそうです。
『アンテベラム』
2021年11月5日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson