前作で一件落着したと思ったら、今度は新たな敵が出現。そして、本作では主人公イワンが本当の勇者になれるかが試されます。とはいえ、イワンのテンションは前作と相変わらずでノラリクラリとしています。人間界に住み慣れたイワンがベロゴリアでどうやって過ごしているかというのも見どころで、これまでのファンタジー映画ではなかなか見なかった光景が出てきます。でも、ベロゴリアの人達にとっては「そりゃ、そうなるか」という展開もあって、クスッと笑える日常も良い導入シーンとなっています。
このシリーズの良さは何といってもキャラクターにありますが、その中でもやっぱり主人公イワンのキャラクターが独特です。彼が勇者らしくないところ、とても平凡なところ、もっといえば優しい心を持ったペテン師というところがストーリーに活きています。ネタバレになるので書きませんが、敵を倒すために数々の難関をくぐり抜ける上で、強くてカッコ良いキャラクターが正々堂々と立ち向かうのとは異なり、悪知恵を働かせて難関をくぐり抜ける様が印象的です。「そういう方法もあったのか!」とその発想に笑ってしまいますよ。
個人的に本シリーズのほっこりな部分が気に入っていて、何だか観れば観るほどこの世界観が好きになっていくのですが、どうやら本章からまだ続きそうな結末だったので、次作があることを祈ります。
今作ではイワンのライバル的存在も出てきて、ちらっと三角関係の要素もありますが、デートで観て気まずくなるような内容ではありません。戦士として力が目覚めないと焦るイワンとヴァシリーサとのやり取りを観て、お互いが相手に求めているものは何なのか客観視するきっかけにできる部分はあるでしょう。
日本でお馴染みのテレビ番組“SASUKE”のようなシーンが出てきたり、ゲーム的な展開が印象的な本作は、キッズやティーンの皆さん好みのストーリーだと思います。クスッと笑えるシーンも豊富なので気楽に観られるのも魅力です。メインのキャラクターも前作とほぼ変わらず相関図もシンプルな点で小さなキッズでも理解しやすいでしょう。親子で観ても友達と観ても楽しいですよ。
『ベロゴリア戦記 第2章:劣等勇者と暗黒の魔術師』
2021年12月3日より全国公開
アルバトロス・フィルム
公式サイト
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TEXT by Myson