まず始めに、とても衝撃的な内容で脳裏に焼き付き、数日トラウマ的にイメージが頭をよぎるため、精神的に元気な時に観ていただくことをオススメします。映像で具体的に映っているわけではありませんが、話を聞いているだけでも耐えがたい内容が多く、想像を絶します。精神的に健康な状態で観ても大変辛いので、個人的には妊婦さんは特に今は観ないほうが良いのではと思います。
これは「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴ民主共和国東部のブカブで今も起きている信じられない事態を捉えたドキュメンタリーです。公式資料によると、この地では20年以上の間、40万人以上の女性達がレイプされ続けていて、婦人科医のデニ・ムクウェゲさんは無償で彼女達を助けています。彼は2018年にノーベル平和賞を授与されましたが、この問題は彼だけの力で解決できることでないのは映画を観ればわかります。さらにいうとコンゴだけでも解決は難しく、国際社会が協力しなければ解決しないと、自身の身の危険も覚悟の上で、彼は世界にこの問題の解決への協力を訴え続けています。
ではなぜ、一地域で起きている性暴力の問題が世界と繋がっているのかと思う方も多いでしょう。本作ではその繋がりについて語られていて、この問題の背景を知ると一層恐ろしくなります。性のはけ口としてレイプが行われているわけではないのです。そしてこの問題は日本にいる私達にも直結しています。これは私達が知るべき問題であり、年齢や性別は関係ありません。この事実を知るところからでも協力の一歩になると思うので、皆さんもぜひ観ていただき、身近な方にも伝えていってください。
大変重く衝撃的な内容なので、全くデート向きではありませんが、大切な人とこそ情報共有して欲しい実態ともいえます。鑑賞後は食欲が失せたり、愕然とするので、夜やデートの終わりに観るよりは、明るいうちに観ていろいろと話し合う時間が取れる状況で観ることをオススメします。
私達が住む地球でこんなことが起きているなんて信じられないと思える内容ですが、知っておいて欲しいことです。とても怖い内容なので1人で観るよりは、家族や友達複数と観て、自分達にできることは何かぜひ鑑賞後にいろいろと話し合っていただければと思います。人間を知るという意味でも観て欲しい1作です。
『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』
2022年3月4日より全国順次公開
アーク・フィルムズ
公式サイト
© TBSテレビ
TEXT by Myson