『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』などの原作者として知られる古屋兎丸の画業20周年記念作品として発表された同名コミックが実写映画化。女子高生に殺されたいという嗜好を抑え切れなくなった東山春人(田中圭)は、社会科の教師として新たに赴任した高校で着々と計画を進めていきます。でも彼の計画は単純なものではなく、殺され方や自分が死んだ後の処理について深いこだわりがあり、さまざまな人物を計画のコマとして考えています。なので、パッと見て誰がどんな役割をさせられようとしているのかわからず、彼の秘密だけではなく、他にも秘密を持つ人物がいるとほのめかす演出にグッと引き込まれていきます。
最初のほうは、いろいろな意味で「そもそも女子高生に大人の男性を殺させるってできるの?」と疑問を持つ方も多いと思いますが、徐々に彼の計画の背景がわかってくると、そこは一旦理論的にはクリアになり、別軸のハラハラドキドキな展開が出てきます。気になるキャラクターが複数登場し、その背景がじわじわとわかってくる展開になっていますが、そうやって惹きつける演技をしている俳優陣の演技力の高さにも改めて気付かされます。若手実力派俳優陣の演技はもちろん、田中圭の怪演ぶりもぜひ観てみてください。
デートのムードが盛り上がるタイプのストーリーではありませんが、クセが強いので鑑賞後にいろいろと話したくなることは出てくるのではないでしょうか。初デートでこの作品を観ようと誘うと違和感を持たれるかもしれませんが(苦笑)、何度か一緒に映画を観たことがあって、お互いに興味を持てそうならデートで観ても良さそうです。
これは現役高校生や中学生が観たらどんな感想を抱くのか、聞いてみたいですね。でも先生と生徒のやり取りは皆さんの日常なので、良くも悪くも等身大で観られると思います。実際にこういうことは起こり得ないですが、危ない先生や何か企んでいる先生を警戒するための参考にしつつ、映画だからこそ存分に気持ち悪さを体感してください。
『女子高生に殺されたい』
2022年4月1日より全国公開
PG-12
日活
公式サイト
© 2022 日活
TEXT by Myson