幼い頃から血液の難病を患い、長らく入院生活を送っていたマイケル・モービウス(ジャレッド・レト)が、類い希な頭脳を活かして医者となり、新たな治療法を生み出そうとするところから物語は始まります。彼は自分自身に施した人体実験によって“怪物”になってしまいますが、彼のキャラクターの魅力は、その人体実験によってヴィランの要素を内包することになったとはいえ、根本は善良な医師であるというところです。
顔は青白く、身体はやせこけていて、杖がなければ歩けなかった彼が、実験によって超人的な能力を身につけたまでは良かったのですが、彼が生きながらえるためには人の犠牲が必要になります。自分を優先するのか、それとも自己犠牲を払うのか。これはある意味人間社会で日々私達が迫られる選択と同じだからこそ、彼に感情移入できるのではないでしょうか。そして、彼の凶暴性は人をむやみに傷つけることに使われるのではなく、大事な人を守るためにやむなく使われるというところでも必要悪と捉えて共感してしまうのだと思います。
本作だけ観ると王道のストーリーという感じではありますが、最後には“あのキャラクター”への繋がりがほのめかされるので、次からの展開にはもっとモービウスのディープなところに迫る内容になるのではないかと期待できます。
最後にもう一つ伝えたいこととして、変化した後のモービウス、マッチョ過ぎるでしょ(笑)!これは同じマーベル作品のキャプテン・アメリカ誕生の時と同じレベルのマッチョ・サプライズです。そして、ジャレッド・レトがすごく若く見えるので(本作の少し前に劇場公開された『ハウス・オブ・グッチ』も然り)、思わず年齢を調べたら1971年生まれの50歳で驚きました。彼の何ともいえないセクシーさもぜひご堪能ください。さらにマット・スミスも役にハマりまくってますのでお楽しみに。
本作にはラブストーリーも含まれていて、程よい距離感の関係が描かれているので、初デートで観るのも良いと思います。モービウスが凶暴化する時はちょっとホラーっぽいですが、怖くて見られないというレベルではないので、キービジュアルを見せてみて大丈夫か確認すると良いでしょう。ハラハラドキドキな展開には吊り橋効果も期待できそうです。
小学校高学年くらいになると、ちょっと怖そうなストーリーに惹かれる方も出てきますよね。本作は怖そうな映画デビューにはちょうど良いレベルだと思うので、興味があれば観てみてください。主人公と幼馴染みの友情物語も重要な鍵を握っていて、皆さんも身近なストーリーだと感じられると思います。
『モービウス』
2022年4月1日より全国公開
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト
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TEXT by Myson
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