子どものピュアな気持ち、まっすぐなモノの見方を改めて実感させられるストーリーです。宗教を否定するわけではありませんが、祈ってもどうにもならないことが現実世界にはあることを、子どもが受け入れようとしているのに、大人が子どもに対して、その現実から目をそらせようとしている姿が描かれていて、大人の押しつけにしかなっていないと客観視させられるシーンやセリフにギクッとさせられます。キリスト教はあくまで1つのたとえとして設定されていて、キリスト教について深く洞察するという難しい内容ではなく、どんな人の日常でも当てはまるテーマが扱われています。子どもにとっては辛い経験だとしても、子どもってこうやって心が成長していくものだという展開は、大人にこそ観て欲しいと思います。
特別ムードが盛り上がるようなデート向きの作品とは言えませんが、辛い出来事にどう向き合うかという人生観を問う内容なので、観終わった後に語りあうのに良いテーマだと思います。タイトルから想像するほど、キリスト教色が強いわけではなく、信仰の在り方、神という存在を信じることの意義を問う内容なので、誘う相手がキリスト教を信仰しているかどうかには、あまり敏感にならなくても良いように思います。
小学生が主人公で、彼の目線で物語が描かれているので、小学生高学年以上なら十分理解して、等身大で観られると思います。76分という上映時間も観やすいでしょう。皆さんがとても辛い出来事に遭った時、大人はすごく心配して、あれやこれやと口を出してくるかも知れませんが、自分なりにどう受けとめるか考えて行動するのはとても重要です。ぜひ本作を鑑賞して、疑似体験してみてください。
『僕はイエス様が嫌い』
2019年5月31日より全国順次公開
ショウゲート
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TEXT by Myson