親戚一同、スペインの故郷に集まり、結婚式で賑わう様子から一転、参列していた1人の少女が誘拐されてしまいます。警察に言えば殺されると恐れ、一家は自分達で娘を探し救おうとしますが、犯人の不可解な行動が混乱を招き、なかなか見つかりません。タイトルの、“誰もがそれを知っている”というのが1つの手がかりになるのですが、前半ではこのことが逆に犯人を絞れない状況に結びつき、どうやって結末を迎えるのか、観ているこちらも途方に暮れてしまう展開が見事です。物語が進むなかで、どのキャラクターも怪しく思える演出にもどっぷりと浸かれます。ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルスの夫婦共演も見もので、2人が夫婦役ではなく、物語の行方を左右する関係性のキャラクターを演じていることにも見応えを感じます。結果的にはちゃんと事件は何らかの終わりを見せますが、ズシリと重いものを残す内容となっています。ズシリと重いものが何なのかは、観てのお楽しみに。
複雑な恋愛関係、家族関係が描かれていますが、同じような経験をしている方はそういないと思うので、カップルで観るとしても、ある程度の距離感を持って観られるはずです。なので気まずくなるほどでもないと思います。推理していく楽しさがあるので、観終わった後は、どこで真相に気付いたかという話で盛り上がれるのではないでしょうか。
これは子どもの立場で観るほうが複雑な気分になるところがあるような気がします。とはいえ、レアケースだとは思うので、警戒するほどでもないでしょう。いろいろな映画を観るようになった人にはトライしてみて欲しいですが、133分という上映時間の長さもあり、大人向けのストーリーなので、せめて中学生以上向けかなと思います。
『誰もがそれを知っている』
2019年6月1日より全国順次公開
ロングライド
公式サイト
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TEXT by Myson