ストーリーやシーンから日本のお話ではない印象を受けたので、原作が海外の小説と知って納得しました。原作はデボラ・インストール作「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(松原葉子訳 小学館文庫)です。原作のタイトルに“ガーデン”とあるように、風景がとても重要な役割を果たしています。本作の舞台の1つとなる主人公、春日井 健(二宮和也)が住む街並みはとても綺麗で、冒頭のシーンからその美しい街並みが映り、その世界観に引き込まれます。監督は、過去の作品でも美しいシーンが印象的な三木孝浩。三木監督は本作でも、美しく、切なく、温かい世界観を作り出しています。ただ、山内健司・濱家隆一(かまいたち)が出演していて、トーンが違うシーンもあります。この辺りは多少好みがわかれるところかもしれません。
また、健のキャラクターがダメ夫という点が物語をドラマチックにしています。まずタングを煙たがっていた健がどんな風に変化していくのかが見どころとなっています。そして、可愛らしいタングに大きな秘密がある点で後半から物語のトーンがガラッと変わっていきます。最後までどうやって終わるのか目が離せない展開になっています。意外にアクションシーンも少しあるので、さまざまな要素を楽しんでください。
健の夫婦関係の変化も重要なポイントとなっています。なぜ、健がダメ夫になったのかが徐々に明かされていくので彼の心情もわからなくもありませんが、満島ひかりが演じる妻の思いも理解できます。本作の夫婦と同じ状況でなくても、夫婦で観ると自分達を客観視できるところがあります。すれ違いを感じている2人ならヒントがもらえる部分もあるので、一緒に観てみてはいかがでしょうか。
タングがとても可愛いので、キッズやティーンの皆さんも楽しめるでしょう。タングと健がピンチをどう切り抜けるか推理しながら観るのも良いですよ。いろいろなキャラクターが出てくるので、どんな役割を果たすか想像しながら観てみてください。
『TANG タング』
2022年8月11日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
Based on “A ROBOT IN THE GARDEN” by Deborah Install Copyright © 2015 by Deborah Install Licensed by Deborah Install c/o Andrew Nurnberg Associates, London through Tuttle-Mori Agency, Inc.
©2022映画「 TANG 」製作委員会,Tokyo
TEXT by Myson
- イイ俳優セレクション/市川実日子(後日UP)
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