監督及び共同原案を手掛けたのは、注目の気鋭シモーネ・ゴーダノで、本作で2019年ナストロ・ダルジェント賞コメディ作品賞にノミネートされました。物語は、南イタリアの港町ガエータの別荘を舞台に、主人公の恋愛をきっかけとした家族のドタバタ劇を描いています。ある日、別荘にカステルヴェッキオ家とぺターニャ家の二家族が集められ、突然両家の父、トニ(ファブリツィオ・ベンティヴォッリオ)とカルロ(アレッサンドロ・ガスマン)の再婚を知らされます。それぞれの家族は混乱し、子どもや孫を巻き込む大騒動が起こります。
各家族の価値観の違いという点では、あるあるが詰まっていて、どんな人でも共感できる部分がありそうです。ただ、どのキャラクターもそれぞれの意見を主張したり、何とか父親の再婚を止めようとする言動からはお国柄も感じます。特にトニの娘のペネロペ(ジャスミン・トリンカ)は、父親に複雑な感情を抱いており、思わぬ行動をとってしまいます。そんな親子関係の行方にも注目です。
混乱する家族が映し出される一方で、豪華な別荘や美しい海の景色にも目を奪われます。そのロケーションが利いて、作品全体にカラッとした雰囲気をもたらしています。家族関係の複雑さが身に染みながらも、クスッと笑える場面もあり、最後は家族や愛って良いなと感じられる作品です。自分の家族のことを振り返りながら観るのもオススメです。
大人の恋愛と家族関係が描かれているので、大人カップルには参考になる部分が多そうです。老紳士のトニと漁師のカルロの再婚カップルは、とても対極的な組合せです。でも、お互いの足りない部分を上手く補っていて、とてもバランスがとれているように見えます。これを機にお互いの関係を見直したり、家族を紹介するきっかけにもなりそうです。
キッズが大人の複雑な人間関係を理解するのは難しそうなので、できれば中学生くらいになってから観てください。また、お父さん同士が結婚すると聞いたら、皆さんもペネロペ達と同じように驚くかもしれません。ペネロペ達がどのようにその現実と向き合っていくのか参考にしつつ、自分だったらどうするか考えてみてください。
『泣いたり笑ったり』
2022年12月2日より全国順次公開
ミモザフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Shamy