REVIEW

渇水【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『渇水』生田斗真

本作は河林満による著書「渇水」を原作とし、白石和彌が初プロデュース、髙橋正弥が監督を務めて映画化しています。舞台は日照り続きの夏、水道局員の岩切(生田斗真)は水道料金を滞納する家庭を訪れて周り、必要があれば水道を停めて回っています。ある日、岩切は2人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会います。
岩切は淡々と仕事をこなし、水道料金滞納者達のさまざまな事情も聞き流し、支払いができない家庭の水道を停めていきます。働けるはずなのに働かない中年男性、彼女や親に料金を立て替えてもらっているだらしない若者など、玄関先のやり取りを観ていると、滞納者の人生が垣間見えてきます。その背景には社会的システムの問題も感じ、何ともいえない歯痒さを感じます。そして、岩切自身も家族にまつわる問題を抱えているので、彼自身の心境の変化にも注目です。
生田斗真は、水道局員として淡々と仕事をしながらも家族が離れてしまい孤独を感じている岩切を自然体で演じています。そして、門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子らも重要なキャラクターとして登場しています。また、オーディションで選ばれ、幼い姉妹役を演じた山﨑七海と柚穂の活躍も見逃せません。ただ可愛いだけでなく、厳しい状況のなか、姉妹で協力して生きていく場面には心を打たれます。
本作は、貧困、格差社会、育児放棄などの社会問題が描かれているので、大人ならどんな方でも心に響くものがありそうです。現代社会の状況と照らし合わせながら、生きることの意味や幸せについて考えるきっかけにもなる作品です。

デート向き映画判定
映画『渇水』生田斗真/門脇麦

主人公の岩切や水道料金の滞納者達の人生からは現実を突きつけられる場面も多く、ムードを盛り上げる要素もないので、初デートよりもベテランカップル向けの作品です。岩切は、妻と息子が家を出ていってしまったため、一軒家に1人で暮らしています。岩切と同じ失敗をしないためにも、彼を反面教師として観て、夫婦や家族関係を良好に保つヒントを探ってみてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『渇水』生田斗真/山﨑七海/柚穂

皆さんの場合は幼い姉妹達に共感しながら観られると思いますが、主人公が訪問する水道料金の滞納者達の姿は、決してお手本とはいえません。また、さまざまな社会問題に関するテーマが盛り込まれており、水道局員の仕事の大変さもわかるので、社会勉強の一環としてご覧ください。

映画『渇水』生田斗真/門脇麦/磯村勇斗/山﨑七海/柚穂/尾野真千子

『渇水』
2023年6月2日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト

©「渇水」製作委員会

TEXT by Shamy

ムビチケ購入はこちら

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー ザ・バイクライダーズ【レビュー】

“バイクライダー=バイク乗り”とは、どんな人物をいうのでしょうか…

Netflix映画『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』マイケル・ジョーダン 心が弾む!バスケットボール映画特集

バスケットボール人気が出てきているのを感じる昨今。…今回は、バスケットボールにちなんだ作品をズラリとご紹介します。

映画『リュミエール!リュミエール!』 リュミエール!リュミエール!【レビュー】

映画の始まりが述べられる際、トーマス・エジソンと、リュミエール兄弟(ルイとオーギュスト)の名前がよく挙がります…

映画『デューン 砂の惑星PART2』ゼンデイヤ ゼンデイヤ【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月1日生まれ。アメリカ出身。

映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック チネチッタで会いましょう【レビュー】

タイトルに入っている“チネチッタ”とは…

Netflixドラマ『さよならのつづき』有村架純/坂口健太郎 ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き22】2024年11月後半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、2024年11月後半に劇場公開される邦画、洋画、Netflixの最新ドラマについてしゃべっています。

映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ Back to Black エイミーのすべて【レビュー】

類稀な才能を持つ歌姫エイミー・ワインハウスは、2011年7月、27歳の若さで逝去…

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー 『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー

真面目な公務員と天才詐欺師チームが脱税王との一大バトルを繰り広げるクライムエンタテインメント『アン…

映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ ドリーム・シナリオ【レビュー】

ニコラス・ケイジ主演、『ミッドサマー』のアリ・アスターとA24が製作、さらに監督と脚本は『シック・オブ・マイセルフ』のクリストファー・ボルグリと聞けば、観ないわけには…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『淪落の人』アンソニー・ウォン/クリセル・コンサンジ 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.2

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』ムロツヨシ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内40代編】個性部門

個性豊かな俳優が揃うなか、今回はどの俳優が上位にランクインしたのでしょうか?

REVIEW

  1. 映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー
  2. 映画『リュミエール!リュミエール!』
  3. 映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック
  4. 映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ
  5. 映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ

PRESENT

  1. 映画『バグダッド・カフェ 4Kレストア』マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー
  2. 映画『型破りな教室』エウヘニオ・デルベス
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP