大正時代の日本を舞台に繰り広げられるガン・アクション。『リボルバー・リリー』とタイトルにリボルバーと入っているので当然ながら、邦画には珍しく銃撃戦が多く描かれています。合わせて肉弾戦が多い点でも、女性が主人公の邦画では希少価値を感じます。また、綾瀬はるか 長谷川博己 羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、阿部サダヲなど、豪華キャストが集結している点でも、東映の本作への気合いの入れようが伝わってきます。特に印象に残るキャラクターは、清水尋也です。掴みどころのない不気味なキャラクターを見事に演じています。彼はこういう役をやらせたらピカイチですね。また、ジェシー(SixTONES)も怪演ぶりを発揮しています。今後は映画俳優としての彼の活躍にも期待が膨らみます。さらに、阿部サダヲが山本五十六を演じているというのもなかなか新鮮ですよ。ラストにも人気俳優のサプライズがあるのでお見逃しなく。
完成披露試写会の後に行われた舞台挨拶でプロデューサーを務める紀伊宗之氏は、「東映らしい作品」という言葉を使って語っていました。何を「東映らしい」と感じるのかは各々異なるとはいえ、確かに東映らしさを漂わす作品はあるなぁと改めて感じました。それはきっとこれまでに大ヒットした東映作品にある共通点であり、大ヒットしたからこそ多くの方の記憶に深く残っている印象なのでしょう。あくまで私の個人的な印象ではありますが、「東映らしい作品」には、良い意味で血生臭く、哀愁が漂う作品が多い気がします。本作はまさにそんな作品です。そして、物語の背景には戦争というテーマが見え隠れします。暴力や金で物事を動かそうとする男性社会に抗う主人公を女性にした意味を想像しながら観ると、この物語の違った側面が見えてくると思います。
ちらっとラブロマンスの要素がありつつ、ハードボイルドな作風なので、デートで観るのもアリだと思います。それぞれの年齢層にも馴染み深いキャストが揃っているので、年の差カップルでもとっつきやすいでしょう。ただし、やや好き嫌いは出そうなので、相手が普段好んで観る映画を聞いてから誘うと無難です。
羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)が演じる少年がキーパーソンです。年齢が近い分、キッズやティーンの皆さんも感情移入できるところがあるでしょう。他がすべて大人であるなか、子ども目線でではどう感じるのか、観終わったら大人と意見交換してみるのもおもしろいかもしれないですね。
『リボルバー・リリー』
2023年8月11日より全国公開
東映
公式サイト
©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
TEXT by Myson
本ページの情報は2023年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。