本作は、アメリカ、イタリア、アルゼンチン、インド、そして日本など、さまざまな国の女性監督が制作した7本の短編を集めたオムニバスです。ジェニファー・ハドソン、カーラ・デルヴィーニュ、エヴァ・ロンゴリア、マーシャ・ゲイ・ハーデン、杏などがそれぞれのエピソードで主人公を演じています。そして、本作は”We Do It Together(WDIT/ウィー・ドゥ・イット・トゥギャザー)”という映画製作会社によって企画されました。映画公式サイトによると、「ウィー・ドゥ・イット・トゥギャザーは、【女性に関する、女性による、みんなのために作られた(about women, by women, created for everyone)】メディア・コンテンツや映画の製作を通して、社会の中でジェンダーの平等を作るという目的を持つ、非営利の映画製作会社」とあります。この理念に則って、このオムニバスは主に女性が主人公の作品で構成されています。
薬物依存の問題を抱える女性の実話、コロナ禍で行き場を失った人達を診て回る女医の実話、DV被害を受けていた女性の実話のほか、シングルマザーやトランスジェンダーの話、そして幻想的な世界観で描かれるアニメーションなど、さまざまな視点で描かれたストーリーがあります。短いストーリーの中に女性の葛藤や奮闘、優しさがギュッと詰まっていて、観ている側もパワーをもらえます。そして、どんな状況にあっても女性達が輝く瞬間を捉えているのが印象的です。また、一方的にフェミニズムを押しつける内容ではなく、WDITのコンセプトにある「女性に関する、女性による、みんなのために作られた」という表現が示すように、「みんなのために作られた」という部分を感じるストーリーとなっています。各国の実力派映画人が作ったエピソードを7作品も一挙に観られるのも贅沢なので、ぜひご覧ください。
ロマンチックなムードになるような作品は含まれていないので、友達以上恋人未満の方や、初デートの方には逆に観やすいと思います。さまざまな状況にある女性の日常を描いていて、女性が生きていく上でどんな問題を抱える可能性があるのかがわかります。本作を観て相手がどんな反応をするか、どんな感想を述べるかによって、価値観が見える部分もありそうです。相性を占うつもりで一緒に観てみるのはどうでしょうか。
子どもが登場するエピソードも数話あり、子ども目線でも何か感じるところがあると思います。7つの短編ということもあって飽きずに観られるでしょう。小学校高学年くらいなら、大人の心情も想像しながら観られるのではないでしょうか。社会で起きていることに目を向けるきっかけになりそうなので、親子で一緒に観て感想をシェアするのも良いですね。
『私たちの声』
2023年9月1日より全国公開
ショウゲート
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TEXT by Myson
本ページの情報は2023年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。