村上龍の「ピアッシング」を原作に映画化した本作。人間の限界を確かめようとしているのか、痛みや恐怖に対する好奇心が狂気的に描かれています。狂気と同時に正気もあるからこそのせめぎ合いもリアルで、狂気が勝ってくると、“正気”がわがままに思えてくるのが不思議です。そして、観ているこちらも主人公リードが目的を達成するところを見届けたいと思い始めてしまう危うい誘因性もあります。同時に、思いもしない展開に巻き込まれてしまうことはどんな立場にもあって、主導権を握っていたはずが、いつの間にか逆転されている時の恐怖も体感できます。相当痛々しいシーンが多く、リアルに描かれているので、目を覆いたくなりますが、そのリアリティがあるからこそ、主人公と同じ状況を疑似体験できるとも言えます。でも、個人差はあれど、目で見る痛みに耐えられるのは、81分の上映時間でギリギリではないでしょうか(苦笑)。
これはデートで観てはいけません。人が快感を得る術はいろいろあるのかも知れませんが、見た目にかなり痛々しいシーンが満載なので、特に女性は苦手な人が多いタイプの作品だと思います。キービジュアルはスタイリッシュですが、中身を知らないで誘ったら、観終わった後に、「なぜ、この作品に誘ったの?」と思われる可能性もあるので、どうしても一緒に観に行きたい場合は、予めどんなストーリーかは伝えたほうが良いでしょう。
PG-12というのが不思議なくらい、過激な作品です。バイオレンス描写もキッズやティーンには刺激が強すぎますが、主人公の狂気を理解するのは難しいと思います。友達を誘っても、家族を誘っても、ビックリされるであろう内容なので、もう少し大人になってから観たほうが良いと思います。
『ピアッシング』
2019年6月28日より全国公開
PG-12
パルコ
公式サイト
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TEXT by Myson