蜷川実花が監督、藤原竜也が主演、窪田正孝や真矢ミキが脇を固める本作は、レストラン、美術館、宝塚のステージ、蜷川幸雄の舞台、アクション映画、全部を一度に味わえる世界観が魅力。料理はすごくアーティスティックな見た目で美しいと同時に、実際に食べても美味しそうで、ディテールまでこだわっているのが伝わってきます。個人的にすごく食べてみたいなと思ったのは、“スキンのスフレ”。一見シンプルですが、そのフワフワ感が伝わってきて、窪田正孝の食べ方も美味しそうな印象を増幅させます。物語としても重要な鍵を握る一品なので、ご注目ください。そして、キャラクターがすごく強烈ですが、まず藤原竜也が演じるボンベロは、ラストに近づくにつれ、魅力が全開に。個人的には、今まで観てきた彼の作品の中でこれが一番カッコ良いと思います。窪田正孝が演じるスキンも期待通り、機敏なアクションで魅せてくれて、本郷奏多が演じるキッドも不気味さと衝撃を与えてくれます。真矢ミキは昔宝塚で男役の大スターだったそうですが、当時の姿を彷彿とさせるキャラクターを演じています。他のキャラクターも玉城ティナ、斎藤工、小栗旬など、メンバーがかなり豪華。蜷川実花監督にしか表現できないようなビビットな色彩のインテリアや絵画などの芸術品もいちキャラクターと言えるし、娘から父、蜷川幸雄へのオマージュも込められていて、そういう点でも感慨深いです。ストーリーそのものも、スリラー、アクションの要素が前面にありつつ、根底にはエモーショナルなメッセージが込められているので、1作で何粒も美味しい作品に仕上がっています。
殺し屋達のためのダイナー(食堂)が舞台なので、バイオレンスシーンはそれなりに過激で、初デートにはオススメしません。人間ドラマ、アクション、料理、アートと、いろいろな視点で見どころがあるので、映画の好みがある程度わかっている同士なら一緒に観に行っても良いと思います。ラブストーリー的要素で気まずい部分はないのでご安心を。
アクションはスピード感があり、アーティスティックな世界観は観ていて飽きないので、ティーンの皆さんにはオススメです。キッズにはちょっと刺激的だなと思える展開があるので、中学生以上向けかなと思います。バイオレンスシーンはちょっと怖いと思う人もいるかも知れませんが、カッコ良いキャラクターがたくさん出てくるので、怖さはそれほど気にならないのではないでしょうか。
『Diner ダイナー』
2019年7月5日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
© 2019 「Dinerダイナー」製作委員会
©2019 蜷川実花/映画「Dinerダイナー」製作委員会
TEXT by Myson