REVIEW
故ウィリアム・フリードキン監督による1973年製作『エクソシスト』から50年の時を経て作られた本作は、1作目との繋がりもありつつ、新しい要素も含まれています。まず、1作目からの大きな繋がりとして、悪魔に憑依された娘リーガンを救うために奮闘したクリス・マクニール(エレン・バースティン)が登場します。どんな風に登場するのかは本編でご覧いただくとして、本作も親の奮闘が見どころの1つとなっている点で、クリスの過去が鍵となっています。一方、新鮮さのある設定としては、2人の少女が憑依される点です。それに付随して、本作には複数の宗教が登場します。信仰する宗教がさまざまなキャラクター達が一緒に問題に向き合う様子は、現代の価値観に合うメッセージだと受け取れます。
そして、“エクソシスト”系の映画が好きな者にとって興味深い点は、悪魔祓いを実施する背景です。特にカトリック教会は厳しい規定があるのがわかります。映画公式資料では、「誰がエクソシスト(悪魔祓いを行う聖職者)なのかを知る者は教区内にいない」と書かれています。これはエクソシストの安全を守るためだそうです。劇中の展開からもカトリック教会の“悪魔祓いは慎重に行うべき”という姿勢が伝わってきます。信じるか信じないかはそれぞれですが、こうした背景を知ると、真っ向から悪魔の存在を否定できないと感じます。また、実在のエクソシストの物語『ヴァチカンのエクソシスト』も観た方は、より現実味を感じながら本作を観られるのではないでしょうか。
本作はエンタテインメントとして観られると同時に、信仰とは何か、子どもを思う親心とはどのようなものかを客観的に観られる物語となっています。さまざまな視点でお楽しみください。
多くの方がご存知の通り、ガッツリホラーなので、タイトルを伝えて誘ってみれば、OKか無理かはっきりわかりますね。相手がホラーにも興味がありそうなら、試しに誘うのもありでしょう。音でビックリなシーンもあり、アトラクション感覚でも盛り上がれそうです。ただ、見た目にギョエっとなるシーンがあるので、食前食後は避けたほうが無難です。ホラー好きのカップルなら、2人で一緒に1973年製作版も観てはどうでしょうか。
多くの方が子どもの頃に一度は興味を持つであろう“あの遊び”がきっかけとなり、2人の少女が不運に見舞われます。所詮遊びでしょと思いつつ、本作を観るとちょっと怖くなるでしょう。日本とアメリカで宗教観の違いはありつつ、子ども達の好奇心や、思春期の子どもと親の関係は万国共通なので、身近なストーリーに感じられると思います。親子で観るのも良し、友達と観るのも良しの作品です。
『エクソシスト 信じる者』
2023年12月1日より全国公開
PG-12
東宝東和
公式サイト
© Universal Studios. All Rights Reserved.
TEXT by Myson
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情報は2023年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。