REVIEW
GEZANのフロントマンであり、小説執筆や映画出演、フリーフェス「全感覚祭」や反戦デモの主催など、多岐に渡り活動するマヒトゥ・ザ・ピーポーが初監督を務めた作品です。監督自身の実体験をもとに、バンドマンのコウ(富田健太郎)と、コウが憧れる地元のバンドマン、ヒー兄(森山未來)、そして仲間達が音楽と共に過ごす日々が描かれています。
コウが憧れのヒー兄と出会い、影響を受ける姿はとても共感できます。そして、ヒー兄やバンド仲間と共に毎日を過ごす様子はまさに青春。若さゆえの純粋さや脆さが丁寧に表現されており、大人目線だと少し懐かしく感じる部分もあります。ヒー兄は一見自由奔放でつかみどころのない人物ですが、自分の気持ちに常に素直で堂々としている姿はとてもカッコ良く見えます。そんなヒー兄が本作においてシンボルとして描かれており、彼が周りの人達に与える影響が観客側にも少しずつ伝わってきます。
キャストはオーディションで主人公に抜擢された富田健太郎をはじめ、森山未來、さとうほなみ、堀家一希、吹越満、永山瑛太、小泉今日子ら豪華な面々が揃っています。森山未來の演じたヒー兄は特にインパクトがあり、本当に彼だからこそ演じられた役だと感じます。
また、本作には出会いと別れというテーマも盛り込まれていて、大切な人を失った経験のある方には特に刺さるものがあると思います。アーティスティックな表現も織り交ぜられている作品なので、人によって受け取るメッセージはさまざまなのではないでしょうか。個人的には生死の境について深く考えさせられ、鑑賞後も余韻に浸りながらあれこれと考えてしまいました。バンドをされている方、アート系の作品が好きな方が観るとまた違う感想が生まれる気がします。ご自身の感覚を研ぎ澄まして本作をご覧ください。
デート向き映画判定
ムードを盛り上げるタイプの作品ではありませんが、映画やアート好きな相手の場合は一緒に観るのもアリです。観る人によってさまざまな受け取り方ができる作品なので、鑑賞後にお互いの感想を話し合うと相手の新たな一面を発見できるかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
バンドマン達の物語でありながら、人間の生死といったテーマでも考えられる作品です。皆さんの場合は主人公のコウ目線で観られると思います。ヒー兄と出会うことで、彼にどんな心境の変化が訪れるのか注目して観てください。まずは今の感覚で観て、何年か経ってから観直すのもオススメです。
『i ai』
2024年3月8日より全国順次公開
パルコ
公式サイト
©STUDIO BLUE
TEXT by Shamy
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情報は2024年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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