REVIEW

ナイアド 〜その決意は海を越える〜【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』アネット・ベニング

REVIEW

世界的なマラソンスイマー、ダイアナ・ナイアドの自伝「対岸へ。オーシャンスイム史上最大の挑戦」を原作として、アネット・ベニング、ジョディ・フォスター共演で描いた作品。ダイアナ・ナイアド(アネット・ベニング)は、マラソンスイマーとして数々の記録を残しながら、28歳で挑んだキューバからフロリダまでの遠泳は不成功に終わり、その後引退しました。でも、60歳になったダイアナは、昔叶えられなかった夢に再び挑もうと、トレーニングを始めます。
キューバからフロリダまでの距離は160㎞、泳げば60時間かかると想定されていました。それだけでも不可能に近い上に、長時間泳ぐ体力があればクリアできるわけではなく、海の水温の変化や波の状況によって、体調を崩したり、体力が急激に消耗されてしまいます。そして何よりサメやクラゲなどから身を守らなければいけません。驚くべきは、途中で船に上がったりせずにずっと海中にいる点です。もちろん、寝るのも、食べるのも海中です。競技のルールとして、ゴールするまで他者が選手に触れてもいけません。28歳で挑戦した際には、サメから身を守るべくケージに入って泳ぎましたが、無謀にも今回はケージなしで泳ぐということで、とことん自分を追い込むダイアナの気迫に圧倒されます。実話なので、既に結果をご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、この偉業は一発で成し遂げられたわけではありません。何度も何度も、何年もかけて挑戦している点にも驚かされます。
見どころはもう1つあります。本作は、ダイアナを支えるボニー・ストール(ジョディ・フォスター)をはじめ、ダイアナの挑戦を支えた人達との物語でもあります。若い頃にはスポンサーを見つけられても、60代で無謀な挑戦をする彼女を支えるスポンサーはなかなか見つかりません。だから、ダイアナだけではなくポニー達皆が経済面でも苦境に立たされながら、この挑戦に臨まなければいけませんでした。そんな状況で葛藤しながら挑戦した彼女達の姿からは、多くのものを学べると同時に、希望や活力をもらえます。そして何より、アネット・ベニングとジョディ・フォスター、リス・エヴァンスの名演にシビれます。本作は観ないと損ですよ!

デート向き映画判定

Netflix映画『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』アネット・ベニング/ジョディ・フォスター

何かに打ち込んだことがある方、一度は夢を諦めた方に特に観て欲しい作品です。今何歳であっても、これからの人生を大切に生きるために良い刺激となるメッセージを受け取れるはずです。そして、ダイアナと親友ポニーとの絆からも一緒に生きていく人達の存在の重さを感じられると思います。価値観を問う物語ともいえるので、将来を考え始めた真剣交際中のカップルにオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定

Netflix映画『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』アネット・ベニング/ジョディ・フォスター

主人公のダイアナは60代ですが、10代の頃からの物語も織り交ぜられながら描かれています。ダイアナにはとても辛い過去があり、そのトラウマとも葛藤しています。家族とのこと、打ち込んでいるスポーツのこと、友達のことなど、皆さんにとっても身近なテーマが描かれています。これからの人生で挑戦することの大切さも伝わると良いなと思います。若い皆さんにもぜひ観て欲しい作品です。

Netflix映画『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』アネット・ベニング

『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』
2023年11月3日よりNerflixにて配信中
公式サイト

©2023 NETFLIX

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP