REVIEW
本作は、『蝸牛』でMOOSIC LAB 2019短編部門グランプリほか4冠を達成した都楳勝監督による最新作です。主人公のタエコ(山﨑果倫)の前に血まみれの男、ショウ(櫻井圭佑)が現れ、匿って欲しいと声をかけられます。そして、タエコも「自分の最期を綺麗に撮って欲しい」とお願いをします。そんな2人が時間を共有し、夢か現実かわからない不思議な世界に引き込まれていきます。
作品全体の世界観はとても幻想的で、観ている側も夢か現実なのか翻弄させられます。タエコもショウも何か孤独や寂しさのようなものを抱えている人物なので、その何とも言えない歯痒い感情はどんな方でも共感できると思います。ただ、夢と現実の境が曖昧な分、物語やキャラクターの心情を明確に理解するというよりも、自身の感性を研ぎ澄まして、自分なりに作品を受け止めて楽しむ作品のように思います。上映時間65分の中で不思議な世界へと誘われるので、アートを鑑賞するような感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか。
デート向き映画判定
上映時間の長さ的にはデートのスケジュールに組み込みやすそうです。内容としては、恋愛よりも人間の奥深い感情について考えさせられる作品なので、映画好きやアート好きの相手であれば一緒に観るのもアリです。また、さまざまな解釈ができる作品なので、鑑賞後に本作について話し合うと、相手の新しい一面が発見できるかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんが観たらどんな感想を持つのか気になります。タイトルの通り、夢の中にいるような感覚になる作品なので、どこからが夢でどこからが現実なのか、自分なりに考えながらご覧ください。物語を完全に理解することができなかったとしても、こういった作品を観ることで、ご自身の感性が一層豊かになりそうです。
『夢の中』
2024年5月10日より全国順次公開
レプロエンタテインメント
公式サイト
©「夢の中」製作委員会
TEXT by Shamy