REVIEW
主人公のヴィンセント(カリム・ルクルー)は、ある日突然、会社でインターンの男性に襲いかかられます。その後にも別の同僚に襲いかかられ、目が合うだけで理由もなく遅いかかられる現象に気付きます。身の危険を感じたヴィンセントは、家を出て田舎に逃げるものの、普通に生活することができなくなってしまいます。簡単なあらすじはここまでにしておき、皆さんにもヴィンセントと同じように何が起こるのかわからない不安な状況を体感していただきたいと思います。
前半はこの話がどこに向かうのかわからないおもしろさ、後半は真相が見えた上での比喩を解釈するおもしろさがあります。何だかSF映画のように思えてくる部分もあり、とてもユニークな描写で社会を風刺している作品といえます。
ここからはあくまで私個人の解釈です。ネタバレしないように書いていますが、鑑賞後に読むことをオススメします。
まずやり場のない怒りが世の中に蔓延している状況を比喩しているのかなと感じました。やり場のない怒りですから、本来怒りをぶつけるべきところがアテにならないので、誰でも良いから目に留まった人に怒りをぶつけるわけです。また、暴れたのは自分のせいではない、つまり怒りの原因を人のせいにする風潮も表しているのかもしれません。そして同時に、それは誰にでも起こり得ることだということも描かれているように捉えました。本作を観ると、そんな現象が蔓延した社会に私達は生きているという危機感を改めて認識します。以上は、前情報をほぼ入れずに純粋に観終わった後に私の頭に浮かんだ解釈です。
その後に映画公式サイト見てみると、ステファン・カスタン監督のコメントがありました。結末に関する意図が書かれているので、そちらも読んでみてください。
デート向き映画判定
ハラハラドキドキするストーリーで、ロマンチックなムードになるというよりも、緊張感に浸る約2時間となるでしょう。ある時点から、カップルで観ると臨場感が増してきそうな展開も出てくるので、デートで観るのもおもしろそうです。最後はある意味2人で乗り切ったぞという感覚が味わえるかもしれません(笑)。
キッズ&ティーン向き映画判定
スリリングな内容なので、キッズにとっては怖いでしょう。少し目を覆いたくなるようなシーンも出てくるので、中学生くらいになってから観るほうが良さそうです。血の気の多い思春期にも、目が合っただけでお互いにカッとなるような状況があるかもしれませんが、本作で描かれる状況は比ではありません。本作を観ると、普段冷静に過ごすことの有り難さを逆に実感できそうです。
『またヴィンセントは襲われる』
2024年5月10日より全国公開
NAKACHIKA PICTURES
公式サイト
© 2023 – Capricci Production – Bobi Lux – GapBusters – ARTE France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinema – RTBF
TEXT by Myson
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情報は2024年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。