冴えない男子が恋と“ビジネス”を経験することによって、だんだん“男”になっていく様をティモシー・シャラメが見事に演じています。自分に自信がついてくるのと同時に、色気も出てきて男らしく変身していく様がすごくリアルで、彼の繊細な演技が見どころの一つとなっています。ラブストーリーとして、人間関係の複雑さゆえのドラマチックさが活きていて、それは青春ドラマとしての人間描写の素晴らしさにも通じています。一見周囲の人間のほうがややこしい生き方をしているようで、主人公が一番矛盾だらけの欲望まみれで、こんがらがった生き方をしています。それは若者の焦燥感、虚無感を体現していて、若い人が観て共感するのはもちろん、大人が観ても昔自分にもこういう気持ちがあったなあと思い出させるものがあります。メインキャストの3人、ティモシー・シャラメ、マイカ・モンロー、アレックス・ローがビジュアル的にもとても美しく、美しいからこそはかないこのストーリーにハマっています。全力で青春を生き抜くキャラクター達の姿を目に焼き付けてください。
ティモシー・シャラメが演じる主人公と、マイカ・モンローが演じるモテる女子の初々しいやり取りが、観ていてキュンキュンするので、交際ホヤホヤカップルはより気持ちが盛り上がるでしょう。友達以上恋人未満で、もうそろそろ一歩前に進みたい人にとっても良い刺激になるはずです。でも、平和的な話ばかりではないので、好きな人に隠しごとをしている人はなかなか言えないでいるなら、本作を観た後に打ち明けてみても良いかも知れません。
PG-12となっているということもありますが、キッズだけでなくティーンにも真似をして欲しくない事柄が描かれています。悪いこととわかっていても、欲望や野心が勝ってしまうのは若ければなおさらですが、本作を客観的に観ると、少し冷静になれるでしょう。目先のことばかりに振り回されず、本当に大事なものは何かを見極めるようにしなければいけないと、本作から気付かされるはずです。
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』
2019年8月16日より全国公開
PG-12
ハピネット
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TEXT by Myson