REVIEW
20代、30代を中心に人気を得て、発行部数100万部を突破した、辻村深月のベストセラーを映画化した本作は、婚活アプリで出会ったカップルが主人公の物語です。西澤架(藤ヶ谷太輔)は、ルックスが良く、親から継いだ会社を経営し、世間でいうハイスペックな男です。でも、架は婚期を逃してしまい、婚活アプリを使って、何人もの女性に会っていました。そして、なかなかこれぞと思う人に出会えずうんざりし始めていた頃、坂庭真実(奈緒)に出会い、これまでとは違うものを感じます。2人は交際をスタートし、一年経った頃に婚約。でも、真実が突然姿を消してしまいます。
前半は、真実が消えた理由を探すサスペンスフルな展開、後半はガラッと異なるトーンのストーリーとなっています。まず、恋愛観、結婚観を問うストーリーがサスペンスで展開されるという点が新鮮です。さらに、身近にありそうな背景だからこそ、等身大で物語の世界に入り込めます。
それにしても、結婚のプレッシャーって、いつの時代も変わらないんですね。もしかしたら、ネット社会になった現代のほうが対面で人と出会う機会が少なくて、相手を探すのが難しいのかもしれません。一昔前の“出会い系アプリ”は良からぬ目的で使われたり、一定のイメージがついてしまったこともありながら、今の婚活アプリはもう少し身近なものになったという話も聞きます。でも、マッチングアプリを介して出会ったカップルに限らず、結婚となると、相手のスペックで選ぼうとする風潮はいつの時代も変わらないのではないでしょうか。本作は、そんな風潮に知らぬ間に乗っかってしまっていることに気づかせてくれる物語です。
デート向き映画判定
結婚相手となると、現実も見なければいけないと考えて、気持ちだけではなく、生活力、将来性などスペックに目を向けたくなるのは当然です。でも、良い相手に巡り会えた時に、自分が相手をスペックで選んでいるとは思いたくないはず。ただ、そのことに目をつぶったままだとどうなるのか、本作はシミュレーションさせてくれます。幸せな結婚がしたい方は、今の相手で良いかどうかを客観視するために1人で観るか、覚悟を決めて2人で観るか決めてください。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんはまだリアルに結婚を想像できないでしょうし、もう少しの間、理想を抱いていても良いと思います。ただ、本作は恋愛観を構築する上で参考になるので、興味を持ったなら、一度観てみるのも良いのではないでしょうか。今一度観て、恋愛を経験してから再度観ると、なお身に染みると思います。
『傲慢と善良』
2024年9月27日より全国公開
アスミック・エース
公式サイト
©2024「傲慢と善良」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2024年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。