REVIEW
これが現実とは、本作で知りショックを受けました。本作は、誘拐され性奴隷にされている子ども達を救うために闘ったティム・バラードの実話を基にしています。本作によると、人身売買は年に約1,500億ドルの巨額ビジネスとなっており、アメリカは児童売買春の最大消費国の1つとされ、現在、奴隷として囚われている人の数は、奴隷が合法だった時代も含めて史上最多で、そのうち数百万人が子どもであるといいます。
子どもの連れ去り方はあまりにも大胆で、どの国で起きてもおかしくありません。その後に子ども達が性的奴隷として扱われる状況にもすごく胸が痛みます。本作では、小児愛者を摘発する捜査官が、犯人は捕まえても子ども達は救えていない状況に心を痛め、捜査官の枠を超えて子ども達を救おうとする姿を描いています。
本作の製作総指揮にはメル・ギブソンが名を連ね、主演のジム・カヴィーゼルと『パッション』(メル・ギブソン監督作/ジム・カヴィーゼル主演)以来のコラボを実現させています。エンドロールでは、主演のジム・カヴィーゼルによって、本作に込められたメッセージが語られています。この問題を社会全体で解決しようと、大衆の関心を向けるべく制作されたことが伝わってきます。映画をただの娯楽としてではなく、映画の社会的影響を信じて、映画作りをしている姿勢に共感します。
ただ、お伝えしておかなければいけないことがあります。ティム・バラードについて独自に調べたところ、海外のニュース(abc4.com/BBC 等)によると、彼が性的違法行為で告発され、自身が立ち上げた反性的人身売買組織であるオペレーション・アンダーグラウンド・レールロード (O.U.R.) から退職していると報道されています。まだ決着がついていないようなので真偽は不明です。本当だとしたら許せないことです。でも、本作の制作は5年前で、ティム・バラードの問題が発覚する前に制作されていたと考えられます。いずれにしても、本作で訴えかけられている、児童を救出する取り組みについては広く知ってもらいたいと思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
日本は安全な国という神話も壊れつつあります。本作には巧みに子どもを連れ去るやり口が描かれていて、日本のような先進国なら余計に油断する怖さを感じます。知らない人についていかない、うまい話に乗らない、相手が有名人でも信用しない…といったことを肝に銘じて、自分の身を守るためにも参考にしてください。
『サウンド・オブ・フリーダム』
2024年9月27日より全国公開
ハーク
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。