REVIEW
多くの作品を手掛けた脚本家、笠原和夫氏が一度企画を出したものの映画化が実現されないままでした本作を、白石和彌監督が遂に映画化。映画公式資料によると、笠原氏は60年前に『十一人の賊軍』の第一稿を書きあげていたそうです。残念ながらその脚本は残っていないそうですが、白石和彌は「昭和の劇」(笠原和夫、荒井晴彦、絓秀実=すがひでみ 共著)を読み、16ページのプロットにたどり着いたといいます。なぜ脚本が残されていないかというと、当時、東映京都撮影所の所長だった岡田茂氏が結末が気に入らずボツにしてしまい、怒った笠原氏が350 枚ものシナリオを破り捨ててしまったそうです。でも、時を経て、笠原氏が描こうとした物語は現代日本が抱えている社会問題とシンクロするという確信に至った東映は映画化することにしたそうです。
本作の舞台は、1868 年に起きた、15代将軍、徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩と長州藩を中心とする新政府軍(官軍)で争われた内戦である、戊辰戦争です。この戦いのなかで難しい立場に立たされた新発田藩(現在の新潟県新発田市)は、苦肉の策として、11⼈の罪⼈達に砦を守る任を負わせます。罪人達は無事に任を終えれば無罪放免になると約束されたものの、事態は複雑化してしまいます。そのなかで、彼等がどのような選択をとるのかが見どころとなっています。
戦争なので当然ながらバイオレンスシーンは多く含まれます。刀で戦うシーンがあるのはもちろんのこと、迫力のある、かなり激しいアクションシーンも含まれていて、東映らしいアクション時代劇になっている印象です。生きるか死ぬかの物語という点でも、人と人との駆け引きに激情が感じられます。男臭さが漂いつつ、女性キャラクターもキーパーソンとなっています。とにかく熱量を感じる作品なので、ぜひ劇場で体験してください。
デート向き映画判定
結構、いろいろなものが切り落とされるので(苦笑)、バイオレンスシーンが苦手な方を誘うには向いていません。キャラクターが多く、155分という長尺で、終始激しい展開が続きます。映画デートをするなら、本作鑑賞をメインメニューにできる日に観るのがオススメです。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんは今歴史の授業で触れている、もしくは最近まで勉強していて、日本史は身近だと思うので、勉強を兼ねて観ると一石二鳥ですよね。昔の難しい言い回しだと、「どっちがどっちの軍の人?」となりそうですが、本作は比較的わかりやすく表現されています。一部刺激の強いシーンもあるので、中学生くらいになってから観ると良いのではないでしょうか。
『十一人の賊軍』
2024年11月1日より全国公開
PG-12
東映
公式サイト
©2024「⼗⼀⼈の賊軍」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2024年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。