REVIEW
“バイクライダー=バイク乗り”とは、どんな人物をいうのでしょうか。さらにいえば、本物の“バイク乗り”とはどんな人物のことを指すのでしょうか。本作を観ると、そんなことを考えさせられます。映画公式サイトによると、「本作は、アメリカの写真家ダニー・ライオンが、60年代シカゴに実在したバイカ―集団”Outlaws Motorcycle Club (アウトローズ・モータサイクル・クラブ)” の日常を描写した1st写真集「The Bikeriders」(1968年初版)にインスパイアされている。劇中では架空のクラブ名 ”ヴァンダルズ” として、その創立から数年間の軌跡が事実を基に描かれる」とあります。
そんな本作には、個のバイク乗りと、集団としてのバイク乗りの姿が描かれています。オースティン・バトラーが演じたベニーは純粋にバイクに乗るのが好きな人物の象徴として映ります。ベニーは、ジョニー(トム・ハーディ)がリーダーを務めるクラブ“ヴァンダルズ”に属しながら、組織に埋もれることのない一匹狼のような存在です。ベニーは、どんどんメンバーが増え、統率が難しくなるヴァンダルズの変化に呑まれていく人物と、対比的に描かれています。
ヴァンダルズの変化には、時代の変化に伴う世代交代がもたらす問題、組織が大きくなるにつれて出てくる問題が投影されていて、バイク乗りでなくても身近に感じるテーマが見えます。さらに、アウトローなイメージのグループであることで、組織の主旨を曲解する者が出てきて、統率するための建前や暗黙の了解が通じない状況に陥っていきます。この変化があまりに切ないです。
本作は、豪華キャストの共演も見ものです。オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・フェイスト、トビー・ウォレスと、若手からベテランまで実力派俳優が勢揃い。主人公を演じたオースティン・バトラーは、ワイルドでセクシーなキャラクターを見事に演じています。トム・ハーディが演じたジョニーは貫禄と渋さが最高です。そして、バイク乗りといえば、ノーマン・リーダスは欠かせません。ノーマンがふらりと登場するとテンションが上がります(笑)。バイクが好きな方はもちろん、映画好きの皆さんもお楽しみください。
デート向き映画判定
ロマンチックなシーンもあるので、デートで観るのも良いと思います。そして、オースティン・バトラーが演じるベニーと、ジョディ・カマーが演じるキャシーの恋愛には興味深いものがあります。時代の風潮もあって、まさに「女は港」的な感じで、風来坊と交際中の方は特に共感できると思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
本作で描かれているバイク乗り達のクラブは属するにも抜けるにも承認がいるような集団で、やや特殊です。ただ、ここまででなくても暗黙の了解のように、メンバーの承認を必要とする集団は私達の身近にもあります。本作には、集団に属することのメリットとデメリットの両方が描かれていて、人間関係を考えるヒントになる部分があります。
『ザ・バイクライダーズ』
2024年11月29日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson
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