REVIEW
こういう話は身近にありそうだからこそ、本当に怖い!世の中にはいろいろな危険があるなかで、本作で描かれているような洗脳が1番対処が難しいなと実感します。
本作の物語の舞台は、名門校です。この学校に“意識的な食事/conscious eating”を推奨する栄養学の教師ノヴァク(ミア・ワシコウスカ)が赴任してきます。ノヴァクは、少食になることでさまざまなメリットがあると生徒に説きます。生徒達は最初は戸惑いながらも、徐々にノヴァクの信念に感化されていきます。
偶然にも日本では、本作と同日に『フード・インク ポスト・コロナ』が公開されます。ちょうど事前に『フード・インク ポスト・コロナ』を拝見していたので、本作の内容がすごくタイムリーに感じました。ただし、2作品が同じ立場にあるというわけではありません。『フード・インク ポスト・コロナ』はドキュメンタリーで、資本主義と健康侵害、環境破壊、経済格差の関連について現実社会の実状を訴えています。一方、本作でもそうした話題が出てくるものの、極論に向かっていきます。だからこそ、観ていて価値観を揺さぶられます。
そして、本作の世界観はすごく不気味です。ミステリアスでカリスマ性のあるノヴァクは、ミア・ワシコウスカが見事に演じています。ノヴァクにはどことなく悲壮感が漂っていて、揺るがない意志のもと何を計画しているのかわからない点でかなり怖いです。彼女は、寓話に出てくる“ハーメルンの笛吹き”のようで、子どもの頃にこのお話を読んだ時のゾッとした感覚が蘇ります。鑑賞後に映画公式資料を読んでみると、本作は「ハーメルンの笛吹き男」をインスピレーションとして用いたとあり、合点がいきました。
本作は現実世界で起きている問題を生々しく描きながら、スパイスとしてファンタジーを取り入れている点で構成も見事です。食べ物、健康、思想などテーマも複数あり、さまざまな視点で考えさせられ、すごく見応えがある1作です。
デート向き映画判定
ロマンチックなムードになるような作品ではないものの、もしこれから長らく一緒に過ごしたい相手だったら、共有しておいたほうが良い内容です。本作には、食生活にとどまらない深いテーマが含まれています。価値観を問われる内容なので、一緒に観て感想を話すとカップルとして有意義な時間になると思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
もしも皆さんがノヴァクの生徒だったら、どうするでしょうか?皆さんの日常でも、仲の良い友達や好きな人の影響で断れない状況に陥ったり、友達もやってるからと、何も考えずに受け入れてしまうことがあるかもしれません。でも、部分的には正しいことをいわれたとしても、何かがおかしいと思ったら、自分の判断が必要です。そんな事態ではどうするべきか、本作を観てシミュレーションしてみてください。
『クラブゼロ』
2024年12月6日より全国公開
クロックワークス
公式サイト
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© COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023
TEXT by Myson
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情報は2024年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。