※映画公式サイトで既に書かれている内容以外には触れずに書いていますが、全く何も知らずに本編を観たい方は映画鑑賞後にお読みください。
今回は、2000年に結成された沖縄出身のアーティスト、HYの代表曲“366日”をモチーフにした映画『366日』を題材に、恋愛における「手放す勇気の必要性」について考えます。
その時出会えたことに価値がある
「愛してる。たとえ一緒に生きられなくても」という本作のキャッチコピーから、悲恋であることは想像できます。赤楚衛二が演じる湊と、上白石萌歌が演じる美海、両思いの2人のシーンが眩しく描かれているからこそ、こんなに思い合っていても別れが待っているのかと、ドキドキしながら観る方も多いでしょう。
本作は湊と美海の20年間を描いていて、現代と20年前の2人の様子が行ったり来たりしながら、現在2人はどうなっているかを知った上で、その間に何が起こったかが徐々に明かされていきます。
2人に起きた出来事や、2人がそれまでに経験してきたことを踏まえると、2人の決断は仕方がないように思います。若い頃は進学、就職など大きな節目が短期間に複数あるので、恋愛を第一に考えるのも難しい面があります。さらに、予期せぬことが起こったとすれば、今まで通りの関係を続けられないと不安になるのも当然です。
でも、大好きな人と別れたくないのは皆同じ。では、どうすれば良いのでしょうか。その答えは、本作のストーリーにあるというよりも、本作のストーリーをどう解釈するか、結末をどう受けとめるかにあると思います。
湊と美海の恋愛として観るのか、2人の20年間を俯瞰して観るのかによって、受け取り方は大きく変わります。湊と美海の恋愛として観た場合は、確かに辛いし悲しい面が際立ちます。ただし、本作には他の幸せな部分も描かれていて、俯瞰して観た場合に、皆結果的に幸せになれたとも受け取れます。
本作は大恋愛を描くと同時に、手放す勇気についても描いています。それは湊と美海だけではなく、もう1人のある人物についてもいえます。3人とも自分よりもまず相手のことを考えていて、時に手放す覚悟を示します。だからこそ、皆過去に囚われずに今を生きているように見えます。
大恋愛をした相手と添い遂げるのも理想的ではありつつ、人生の節目ふしめで必要な相手に出会えるのもまた幸せといえるのではないでしょうか。別れたことを悔やみ続けている方や、今別れが訪れそうで不安に苛まれている方がいたとしたら、一時的に辛いとしても、今は別れが必要、未来に別の出会いが待っていると考えてみるのも1つの手かもしれません。そして、本当に今後また必要な縁ならば、今手放してもまた戻ってくると考えてみると、少し気持ちが軽くなるのではないでしょうか。
『366日』
2024年1月10日より全国公開
松竹
公式サイト
ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも
©2025映画「366日」製作委員会
TEXT by Myson
本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。