REVIEW
ニコラス・ケイジがプロデューサー兼連続殺人犯を演じている本作は、「世界興収1億2600万ドルを突破、2024年の独立系映画の全米興NO.1、過去10年における独立系ホラーの全米最高興収など、数々の記録を達成」(2024年11月時点、映画公式資料より) しています。冒頭から不気味さが全開で、「これがニコラス・ケイジ⁈」と驚く強烈なビジュアルで、観客を一気に物語の世界に引き込みます。

マイカ・モンローが演じる主人公のリー・ハーカーは、FBIの新米捜査官でありながら、ある出来事を機に、連続殺人犯ロングレッグスの捜査で大役に抜擢されます。でも、捜査が進むなかで、リーは不可解な出来事に遭遇していきます。
序盤でリーとロングレッグスの関係はなんとなく予想できるものの、その後徐々に明かされる背景には驚かされます。映画公式資料にあるオズグッド・パーキンス監督のQ&Aには、いまだ未解決のジョンベネ・ラムジー事件から着想を得たと書かれてあります。ネタバレになるので具体的には書かずにおくものの、鑑賞後に事件の内容を調べてみると、本作に共通する要素があることがわかるでしょう。

本作の抜群な不気味さには、随所にこだわりが見えます。映画公式資料にある、以下のパーキンス監督の言葉を読むと、ユーモアも伝わってきます。
僕がクリスマス休暇から現場に戻ると、チームは木で出来た箱“ビッツボックス”を準備していて、そこには細々した物や、歯、髪の毛、爪が入った小袋が詰め込まれていた。彼らは休暇中に家族や友人に頼んで爪を伸ばしてもらい、切った爪を袋に入れてくれたんだ。(中略)とても嬉しかったよ。なんてキモくて面白いんだ! (中略)正気とは思えない! 編集担当者が何度か「これは使えない」と言ったが、絶対嫌だと言ったんだ。カットするなら僕を殺してからにしろ、とね。

ユーモアとスリルが絶妙なバランスで描かれた本作では、マイカ・モンローはシリアスなキャラクターを好演し、ニコラス・ケイジは怖いけどなんだかおもしろくもあるクセの強いキャラクターを怪演しています。このギャップもぜひご堪能ください。
デート向き映画判定

ホラーなので、苦手な方を無理やり連れて行くのはオススメしないものの、好奇心と遊び心があるパートナーなら、アトラクション感覚で一緒に楽しめるでしょう。さまざまなキモさが盛り込まれていて、ホラー好きにとっては充実感が得られる内容となっています。2人ともホラーに免疫があるなら、デートで観ると鑑賞後の会話も弾みそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

PG-12なので大人と一緒なら小学生でも観られるものの、場合によっては一時的にトラウマになるようなインパクトがあるホラーです。一方でホラーのおもしろさがわかり始めたティーンの皆さんにとっては、さらにホラーの魅力を感じられる機会になると思います。観終わった後にあれこれ話したくなるので、友達と観ると一層楽しいですよ。

『ロングレッグス』
2025年3月14日より全国公開
PG-12
松竹
公式サイト
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TEXT by Myson
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