ベストセラー作家、伊坂幸太郎による初めてにして唯一の恋愛小説を映画化。もともと、原作はかねてから斉藤和義ファンを公言していた伊坂が、斉藤から作詞のオファーを受けて、「小説なら」ということで短編「アイネクライネ」を書いたのが始まりだそうです。その後2人の交流から新たにストーリーが加えられ、6章からなる連作小説集が完成したとのこと。天才同士のエピソードって、なんてオシャレなんでしょ!もちろん本作の音楽を手掛けるのは斉藤和義、監督は伊坂自らが指名したという今泉力哉。映画は、三浦春馬が演じる佐藤を中心とした群像劇になっていて、10年という時をまたいだストーリーになっています。
「運命の出会いはあるのか?」「そんな出会いをした2人は永遠に幸せなのか?」というのがテーマになっていて、前半ではありそうでなさそうでありそうなドラマチックな出会いが描かれ、後半はそんな出会いをした人達がその後どうなっているのかを描いています。また10年後の世界では、新たな世代の恋愛が描かれていて、ある2人が化学反応を起こす瞬間がとてもユーモラスでロマンチックで、日常には意外にたくさんのミラクルな出会いがあるという希望をもたらしてくれます。ラブストーリーでありつつ、そこばかりに執着せず、広く人間愛を描くストーリーになっている点でも共感できて、老若男女楽しめる作品です。
ドラマチックな演出と、日常感溢れるストーリーのバランスが絶妙で、自分達に置きかえて観られるので、男女共に共感できると思います。良い意味でロマンチックさでごてごてしておらず、観やすいラブストーリーである点でもデートにオススメ。群像劇なのでいろいろなカップルが出てくる点でも、視点が偏り過ぎず観られるでしょう。
キッズにはまだピンとこないかも知れませんが、ティーンは同世代のキャラクターが出てくるし、初恋も体験する頃なので、感情移入しやすいでしょう。ティーンのうちにする恋愛でそんなに先まで考えが及ばないかも知れませんが、10年という時をまたいで描かれるストーリーなので、長く付き合うとこういう感じになるのかなというシミュレーション的な視点で観るのもアリですよ。
『アイネクライネナハトムジーク』
2019年9月20日より全国公開
ギャガ
公式サイト
© 2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
TEXT by Myson