本作は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』の長井龍雪監督作で、脚本は同2作で組んだ岡田麿里が手掛けており、今回も埼玉県の秩父が舞台です。設定がユニークで、前半は主人公の周りで起きていることについて、「一体どういうことなんだろう?」という興味が掻き立てられます。本作には、大人になっても地元に残って暮らしている人間と、夢を追いかけるために都会に出た人間が、それぞれ心に埋めきれていない何かを探すストーリーと、これから将来の選択をしようとする女子高生のストーリーがあって、誰にでも身近に感じられる内容です。ラブストーリーとして観るのも良いですし、姉妹の物語にフォーカスする観方もありますが、いずれにしても、見方を変えれば、違った風景が見えてくることを教えてくれます。エンドロールにも物語が続いているので、最後の最後までお見逃しなく。
本作に出てくる、相生あかねと“しんの”のようなカップルは、世の中にたくさんいると思います。なので、あかね達と同じようなシチュエーションを経て最終的に結ばれたカップルが観るのと、別れを経て別の人と交際している人がカップルで観るのと、心境が異なりそうです。後者の場合で、まだ別の人が心に残ったまま、強引に忘れようと本命ではない相手と付き合っている人は、いろいろと刺激を受けると思われるので、一旦1人でじっくり観ることをオススメします。
ティーンの皆さんは、主人公あおいの気持ちをリアルに体感できると思います。進路に悩むことはもちろん、日頃兄弟姉妹に対して抱いている思いなど、皆さんが今日常で抱えている問題に近いことが描かれています。将来を想像するきっかけにもなると思いますが、どんな選択をしても、考え方次第でいつだって希望は持てるということを教えてくれるストーリーなので、気楽な気持ちで観てください。
『空の青さを知る人よ』
2019年10月11日より全国公開
東宝
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TEXT by Myson