公式資料の言葉をそのまま借りると、本作は「大石内蔵助が実際に残した帳簿をもとに、忠臣蔵の予算を切り口としたコメディ」です。なので、何か費用がかかる事柄が出てくると、その都度しっかり金額が表示される点がまず斬新です。そして、これまで”忠臣蔵”にまつわる作品は多く作られてきましたが、討ち入りそのものをメインにしているというより、「討ち入りするの?しないの?」といった準備段階のところで何があったのかをお金目線で描いている点がおもしろいです。また関西出身の堤真一が大石内蔵助を演じ、岡村隆史ほか芸人も多数出ているので、関西のノリが強めに入っている点でもコメディ色が濃くなっています。”忠臣蔵”ファンはもちろん、もう”忠臣蔵”はお腹いっぱいと思っている人も楽しめますよ。
“忠臣蔵”という観点は少し横に置いておくと、ワチャワチャする男達の姿が愛しくもあり、憎らしくもあるストーリーです。なので男性は楽しめそうな気がしますが、女性がこの男達の行動、態度にどういう感想を持つかは未知数です(笑)。でも、“忠臣蔵”の裏話とはいえ、討ち入りの重いストーリーではない点で、気楽に観られるので、2人とも興味があればデートで観るのもアリでしょう。
“忠臣蔵”にまつわる作品が多数あり過ぎて、何から手をつければ良いのかわからないという人もいるかも知れませんね。そういった意味では、本作はお金の話をわかりやすく描いていて興味が湧くし、気楽に観られるのでオススメです。ただし、本作に限らずですが史実を巡る作品で注意しなければいけないのは、“実話を基にした”といっても、誰かが残した記録から推測して映像化していて、映画の中で起きていることが100%事実かどうかはわからないし、登場人物の会話も一部想像から描かれているという点です。歴史の勉強をする上で、史実を基にした映画は参考になる部分はありますが、それを取っかかりにして、改めてちゃんと歴史を勉強するとなお良いでしょう。
『決算!忠臣蔵』
2019年11月22日より全国公開
松竹
公式サイト
©2019「決算!忠臣蔵」製作委員会
TEXT by Myson