山﨑賢人と松岡茉優が出演する映画『劇場』、今泉力哉監督最新作『街の上で』は、下北沢を舞台にしています。
『街の上で』はオール下北沢ロケで撮られていて、町の様子がそのままに伝わってくるし、『劇場』では小劇場の中などが映されています。
ポッドキャストのほうで以前お話させて頂きましたが、私は遠い昔、俳優の柄本明さんが主宰の劇団東京乾電池の研究生でした。当時の東京乾電池の稽古場は幡ヶ谷だったのですが(今は下北沢に移転)、卒業公演は下北沢の駅前劇場でした。映画『劇場』で映っていた中に下北沢の駅前劇場があったと思いますが、勝手に親近感を覚えてしまいました(笑)。研究生として舞台に立ったのは卒業公演だけでしたが、観客としてもよく観に行っていたので、いろいろと記憶が蘇りました。
芝居を観に行くと、大量のチラシをもらうのですが、これを観るのも楽しみでした。有名な劇団のものもあれば、まだ規模は小さいながら個性的な劇団のものもあって、映画『劇場』で山﨑賢人が演じる主人公が主宰していたような変わり種の劇団の存在がとてもリアルに感じました。チラシのデザインは荒削りなのですが、エネルギーがバンバン伝わってくるチラシなどもあって、皆さん夢を抱いてここにいるんだなというのを感じていました。
小劇場でも著名な俳優さんが出ているお芝居があるのですが、いつもはスクリーンやテレビで観ている役者さんが、すごく間近でお芝居をしているのを観られて、とても贅沢だなと思いながら楽しんでました。まだ売れていなくても、既に売れていても関係なく、皆さんお芝居が好きなんだなというのが伝わってきて、好きなことに向けられる情熱に、いつも良い刺激をもらっていました。
他にも研究生時代には、本多劇場やザ・スズナリなど、柄本明さん他、東京乾電池のプロが出演する舞台のもぎりのお手伝いなどもさせて頂きましたが、そんな劇場がある通りが映画に映るとテンションが上がりますね。
また、社会人になってからは、前職でやらせて頂いたイベントのチラシを置いてもらいに、小劇場やライブハウスなどたくさん回りました。下北沢はチラシの設置が日常茶飯事なので、どこにお願いしても、あまり説明しないうちに「良いっすよ!」と快く受け付けてくれたので感動しました。まさに町ぐるみでエンタテインメントを支えているというムードがあって、俳優の卵、アーティストの卵などにとって聖地なのがわかります。芸能人もフツーにふらっと歩いていたりしますが、芸術を愛する人にとって、とても心地良い町なんだろうと思います。
カフェやアパレルなども個性的なお店がいっぱいあって、町歩きだけでも本当に楽しい町なんですよね。劇団の打ち上げや、友人と飲み会をしたり、自分では絶対に入らないというか入る勇気が持てない小さなバーとかにも連れて行ってもらいましたが、映画『街の上で』にはそういうお店が映っていて、それもすごく懐かしいなと思いました。
最近はちょっと足が遠のいてしまいましたが、下北沢はたまにふらっと行きたくなる場所。
今新型コロナウィルス感染症の影響で、劇場やライブハウスなどがどうなってしまうのか、とても心配ですが、この文化が生き続けるようにと切に願います。そして、新型コロナウィルス感染症が終息したら、またぜひ町歩きをしたいです。
『街の上で』
近日公開
「街の上で」フィルムパートナーズ
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定(後日)
『劇場』
2020年7月17日より全国公開
松竹、アニプレックス
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
©「街の上で」フィルムパートナーズ
© 2020「劇場」製作委員会
TEXT by Myson