キャリアデザイン

あなただけのキャリア11:セクシャルハラスメントとどう闘う?

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ある職場』平井早紀

昨今ハラスメントへの関心は高まってきています。ただ、実際にハラスメント被害に遭った方が声を上げやすくなったかと言えば、そうとは言えない状況でしょう。

そんな実状を捉えた映画があります。それは、実在のセクシャルハラスメント事件に基づいて、その後日談として創作されたフィクション『ある職場』という映画です。本作は、同じ職場に務める社員達が一緒に数日間宿泊施設で休暇を過ごす様子を描いています。彼等が務めている一流ホテルが所有する宿泊施設に集まった彼等は、最初のうち和やかなムードで会話をしているように見えます。そして、自然に勤務先で起こったセクシャルハラスメント事件に話題が及び、その場にいた大庭早紀が自分が被害者であることを明かし、そこから不穏な空気が流れていきます。

この作品では、セクシャルハラスメントの被害者が二次被害に遭うという実態が描かれていると同時に、職場に潜む数々の問題が映し出されています。早紀は皆が談笑している間もずっとスマホを触っていますが、それはSNSで炎上してしまっているからです。ここにまず、個人が特定され社内外に情報が漏洩してしまったという問題があります。また、会社の保身のために彼女に妥協しろと詰め寄る人物が登場したり、彼女を悪者扱いする者も出てきます。セクハラの概念について議論される場面もありますが、加害者に都合の良い解釈を述べる人物もいたり、観ていて腹立たしくなるキャラクターも複数出てきます。

映画『ある職場』平井早紀ほか

この作品に出てくる企業はハラスメント被害を訴えても通じない風土が染みついてしまっているようで、根っこから腐敗しているのが彼等の様子から伝わってきます。しかも表向きには一流ホテルともなると余計に辞めたくないと思う社員も少なくないのでしょう。大手企業でなくても、職を失う怖さは誰にでもあり、転職できるかどうかの不安や、新しい職場でもまた同じようなことがあるかもしれないという恐れを抱いてもおかしくありません。本作の最後にも出てきますが、セクシャルハラスメント被害者の約45%が特に何もせずにやり過ごしているのが現状で、日本ではハラスメントを防ごうとする意識がまだまだ浸透していないことがわかります。

では自分で自分の身を守るためにどんなことができるでしょうか?まず法律を知っておくということです。男女雇用機会均等法第11条に関係するところでは、セクシャルハラスメントについて「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることがないよう防止措置を講じること」とあります。また、事業主(企業)にはハラスメント防止のために講ずべき措置が示されています。自分の会社がどこまで措置を講じているかを知っておきましょう。

映画『ある職場』平井早紀

ただ、形式的に措置を講じているだけで機能していなければ、加害者が社内で力を持っている場合や業績が良い人材の場合など、厳しい処罰を免れてしまい、被害者が納得のいかない形になることも大いに考えられます。事実調査の場合には証拠が求められることもあるようですが、突発的に起こる出来事に対処するのは難しいし、怖い思い、苦痛な思いをしていて動揺している状況ならなおさらです。でも、日々少しでもおかしいな、嫌な予感がするな、これってハラスメントじゃないのかなと思ったら、その段階で未然に防ぐ方法や身を守るために今できることはないか、社内の信用できる人物か相談できる窓口、都道府県労働局など社外の相談窓口を頼ってみてはいかがでしょうか?

厚生労働省が運営している「あかるい職場応援団」という情報サイトを利用してみるのも良いでしょう。このサイトでは、ハラスメント裁判事例、企業の取り組み、ハラスメント対策についての情報が載っています。外部の相談窓口の一覧もあります。女性の場合は、就職先、転職先を探す際に「女性の活躍推進企業データベース」で、女性の活躍推進に取り組んでいる企業を探してみるのも良いかもしれません。

セクシャルハラスメントは、性別を問わず被害に遭うことがあります。被害に遭ったら我慢せず相談して欲しいと思います。ただ、今回紹介した『ある職場』でも描かれている通り、社内の人間関係は思っている以上に複雑です。相談相手は慎重に選ぶ必要があります。社内の人に相談するのは怖いな、難しそうだなと思ったら、先に社外の機関に相談することも有効なのではないでしょうか。

ハラスメントに関する情報サイト及び職場環境を知るためのWEBサイト

オススメのお仕事映画

『ある職場』
2022年3月5日よりポレポレ中野にて公開

公式サイト

周囲の人間のあまりの鈍感さと無慈悲な対応に、被害者の気持ちはこんなにも理解されないのかと絶望感を覚えます。被害者のサポート体制を外側からももっと強化しなければいけないと感じます。

© 2020 TIMEFLIES Inc.

映画『スキャンダル』シャーリーズ・セロン/ジョン・リスゴー

Amazonプライムビデオで観る

『スキャンダル』
Amazonプライムビデオにて配信中
ブルーレイ&DVDレンタル・発売中

部活リポート REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

アメリカで視聴率NO.1を誇るニュース放送局“FOXニュース”のCEOによる、実際に起こったハラスメント事件を映画化。どの国もセクシャルハラスメントの被害者が声を上げるのが難しい状況は同じ。それでも闘うことを決めた女性達の姿に勇気をもらえます。

© Lions Gate Entertainment Inc.

TEXT by Myson(国家資格キャリアコンサルタント)

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』記者会見:ファン・ジョンミン、チョン・ヘイン、リュ・スンワン監督 自分の人生をしっかりと生きている方がベテラン『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』ファン・ジョンミン、チョン・ヘイン、リュ・スンワン監督来日

『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の公開を記念し、ファン・ジョンミン、チョン・ヘイン、リュ・スンワン監督が緊急来日を果たし、記者会見が行われました。

【エンドレス・アカデミー】開校記念記者発表:下浦貴敬学院長、山口智子(スペシャルゲスト) 山口智子さんも応援!2025年4月開校【総合芸術学校エンドレス・アカデミー】下浦貴敬学院長&伊勢直弘講師インタビュー

“東京リベンジャーズ”や“ブルーロック”などを原作とした⼈気2.5次元舞台を数多く制作、プロデュースしてきた株式会社Office ENDLESSが、⻑年にわたる経験をもとに、独⾃メソッドによる教育の場として、【総合芸術学校エンドレス・アカデミー】を開校しました。この学校にはユニークなポイントが多数あります。そこで、下浦貴敬学院長と伊勢直弘講師に、学校設立のきっかけやカリキュラムへのこだわり、そのこだわりに繋がるお二人の経験について詳しくお聞きしました。 俳優の山口智子さんがスペシャルゲストとして駆けつけた開校記念記者発表の模様とともに、インタビュー内容をお届けします。

映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』レネー・ゼルウィガー ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今【レビュー】

前作を観終わった後、もうこれ以上話が続くとは思ってもみなかったけれど…

映画『終わりの鳥』ローラ・ペティクルー 終わりの鳥【レビュー】

この映画はスゴい!なんと独創的なんでしょう!…

映画『金子差入店』丸山隆平 『金子差入店』キャスト&スタッフ登壇!ジャパンプレミア 20名様ご招待

映画『金子差入店』キャスト&スタッフ登壇!ジャパンプレミア 20名様ご招待

映画『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』ズーイー・デシャネル ズーイー・デシャネル【ギャラリー/出演作一覧】

1980年1月17日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州生まれ。

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』レネー・ゼルウィガー
  2. 映画『終わりの鳥』ローラ・ペティクルー
  3. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  4. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  5. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬

PRESENT

  1. 映画『金子差入店』丸山隆平
  2. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  3. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP