ツイ・ハーク、チェン・カイコー、ダンテ・ラムが監督を務め、製作費270億円が投じられた本作は、世界興収1130億円の大ヒットを飛ばしています。この3人が共同監督というだけでも魅力的なのに、投じられた製作費と興収額も大きくて、観ないわけにはいかないですね!本作は、朝鮮戦争中の1950年に起きた“長津湖の戦い”を描いています。“長津湖の戦い”では、アメリカ軍が率いる国連軍と中国軍が直接戦いました。中国軍には優秀な兵が揃う第7中隊がいて、彼等は休む間もなく戦い続けます。
物語は、第9兵団第7中隊の兵士達を中心に描かれており、主に中隊長の伍千里とその弟で新米兵士の万里の兄弟にフォーカスされています。戦闘のシーンが多くを占めるのでほぼ全編緊張感が張り詰めていますが、時にユーモラスなシーンがあり、兄弟のドラマ、兵士同士のドラマも印象的です。1番の見どころとなる戦闘シーンは、攻撃の迫力が伝わってくると同時に、空撮なども効果的に使われていて、スケールの大きさを実感できます。
そんな壮大なスケールで描かれている作品であり、エンタテインメント性も高い一方で、中国、香港、台湾の関係が未だに不安定であることを思うと、本作が中国建国100周年を記念した作品として作られた本当の意味はどんなところにあるのだろうと考えずにはいられません。どの国の人が観るのかで感じ方が大きく異なりそうな作品のように思います。
3時間近い上映時間でひたすら戦闘シーンなので、デートの雰囲気が盛り上がるのは期待できません。でも、逆にデートで観て気まずいということはないので、お互いに興味があれば観てみるのも良さそうです。ただ、戦争映画というところで痛々しいシーンは多数あります。その辺りの許容範囲は事前に確認した上で誘うかどうか決めましょう。
本作で描かれている朝鮮戦争について、参戦国同士の関係性などを予め少し勉強してから観ると理解が深まりそうです。日本人がこの作品を観るのと、中国人がこの作品を観るのとでは、着眼点や感じ方が異なるところもあると思います。もし身近に中国の友達や知人がいたら、“長津湖の戦い”についてどんな印象を持っているかなど話を聞いてみるのも良いでしょう。
『1950 鋼の第7中隊』
2022年9月30日より全国公開
R-15+
ツイン
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TEXT by Myson