第57回台湾アカデミー賞を受賞した「1秒先の彼女」を山下敦弘が監督、宮藤官九郎が脚本で、男女の設定を入れ替え、舞台を京都に移し新たな物語として描いています。郵便局で働くハジメ(岡田将生)は、何をするにも人より1秒早く、いつもタイミングがずれています。そんな彼がある日、路上ミュージシャンに恋をし、花火大会のデートに行く約束をします。しかし、ハジメが目覚めるとなぜかデートの翌日になっています。この時点で観ている側もハジメと同様に頭の中が「???」となると思います(笑)。ハジメのテンポを狂わす出来事の真相は本編でご確認ください。
ハジメは会話も行動もすべて1秒早く、とてもせっかちに見えます。本作ではそこが笑えるポイントになっていて、ハジメが郵便局のバイクで爆走したり、相手の回答を待たず早口でどんどん話をするシーンなどは思わずクスッと笑ってしまいます。また、本作には何をするにも人より1秒遅いレイカ(清原果耶)も登場するので、2人の対比も見どころです。さらに、荒川良々、福室莉音、片山友希、加藤雅也、羽野晶紀らが演じる個性的なキャラクターが、ハジメとレイカの運命とどう絡んでいくのか注目してください。
本作はタイミングの合わない2人の様子がわかりやすく、ユーモアたっぷりに描かれており、どんな人でも楽しめる作品です。現実でも人とタイミングがずれてしまうことはあると思うので、これを機に自分のペースや人間関係を振り返ってみてください。
恋愛要素がありつつ、気まずくなるシーンはないので、どんなデートでも気楽に観られます。ハジメとレイカがそれぞれ他の人とテンポがずれている様子にはクスッと笑えますし、予想外の展開も多いので、鑑賞後の会話も盛り上がると思います。また、京都が舞台で、鴨川や天橋立といった場所も登場しているので、次回のデートや旅行で行くのもオススメです。
せっかちなハジメとのんびりとしたレイカの壮大なすれ違いを皆さんも楽しく観られると思います。また、他の人よりもすべてのテンポが1秒早いor遅いことで、ここまで影響するのかと驚く場面もあります。時間の感覚のズレを客観的に観られるのも本作の醍醐味なので、自分の時間の使い方を見直すきかっけにもなりそうです。
『1秒先の彼』
2023年7月7日より全国公開
ビターズ・エンド
公式サイト
©2023『1秒先の彼』製作委員会
TEXT by Shamy