前監督作『コロンバス』が世界中で話題となった映像作家のコゴナダが、スタジオA24とタッグを組んで手掛けた本作。舞台は、“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが一般家庭にまで普及した未来で、主人公のジェイク(コリン・ファレル)一家とテクノのヤン(ジャスティン・H・ミン)の心の触れ合いがドラマチックに描かれています。物語は、ヤンがある日突然動かなくなってしまうところから始まります。その先は本編をご覧いただくとして、全体的に温かく優しい雰囲気が漂う作品で、ジェイク一家とヤンの愛情溢れる関係は、どんな人でも何か心に響くものがあると思います。
ジェイクを演じたコリン・ファレルをはじめ、ジョディ・ターナー=スミス、ジャスティン・H・ミン、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤといった国際色豊かなキャストが集まっています。コリン・ファレルは、ジェイクの複雑な心の葛藤を静かに体現していて、確かな演技力を証明しています。また、娘のミカを演じたマレア・エマ・チャンドラウィジャヤのキュートな演技や美声にも注目です。
そして、美しい映像や音楽も本作の魅力です。音楽は、坂本龍一がオリジナル・テーマ曲を提供しており、作品の世界観と見事にマッチしています。現実の世界でロボットと人間が将来どんな関係を築くのかはわかりません。でも、まずはその一例として本作を観て、ロボットと人間の理想の関係について考えてみてはいかがでしょうか。
映像、音楽の美しさからおしゃれな雰囲気が漂う作品なので、映画やアート好きのカップルには特にオススメです。人間とロボットの関係を描きながら家族愛もテーマとしている作品です。鑑賞後は本作の感想と共にお互いの家族について話すのもアリです。
娘のミカはロボットのヤンと特に仲が良く、その純粋な関係に皆さんも胸を打たれると思います。また、動かなくなってしまったヤンの復帰を願い、奔走するジェイクの前には、さまざまな人物が現れます。誰が良い人か悪い人かわからなくなる部分があるので、皆さんもジェイクと一緒にそれぞれの人物を見極めてみてください。
『アフター・ヤン』
2022年10月21日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Shamy