AI技術が生活の深い部分にまで浸透した近未来を舞台に、その技術革新に伴うメリットとデメリットを描く物語。人を助けるために開発された技術であっても、必ずと言って良いほど悪用する者がいるという現実があり、本作はそんな起こりうる未来を映し出していますが、同時に結局は技術が良い悪いではなく、それを使う人間の問題だということが改めて客観視できる内容になっています。そういう点では、想像通りのストーリーではありますが、エンタテイメントとしては、陰謀に巻き込まれた主人公(大沢たかお)が、いかにして危機を乗り越え人々を救うかという過程が見どころです。また、デジタルに頼る警察と、自分の経験や直感に従って捜査するアナログのベテラン刑事の比較も、本作のもう1つのテーマを象徴するものとして印象的に描かれています。ラストまでハラハラドキドキが止まらず、最後はスカッとする作品です。
誰にでも身近に感じられるテーマを扱っていて、カップルで観て気まずいシーンもないので、どんな関係性のカップルが観てもオーケーです。プログラムの話は出てきますが、複雑な内容ではないので、構える必要もありません。カップル的にムードが盛り上がる内容というのではありませんが、「愛する人のために」という要素もあるので共感もできるはずです。
皆さんが大人になる頃にはこの映画で描かれているような時代になっているかも知れません。便利な技術、人を助ける技術は素晴らしいですが、その代償もしっかり把握して使わなければいけないことが本作を観るとわかると思います。なので、「皆が使ってるから」ではなく、自分の判断、責任で利用することを肝に銘じる意味でも、本作を観て参考にしてください。
『AI崩壊』
2020年1月31日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
TEXT by Myson
©2019 映画「AI 崩壊」製作委員会